青島パルス(TSP)による音響伝播系の測定システム

                    20008
Aoki Applied Acoustics. Co., Ltd.

                          青木応用音響(株)

1.       インパルスレスポンスの測定

音源から、複雑な音響系を通過して受音点にいたるまでの特性は、インパルスレスポンスを計測することにより明確にすることができる。一般的には継続時間の短いパルスを発生させてそのレスポンスを取得する方法があるが、信号のエネルギーが非常に小さいため、外乱の影響を受けやすい。

これらを避けるため、青島パルス(TSPTime Stretched Pulse)法、M系列信号と行列演算による方法などが考案されている。ここでは、音響系の揺らぎ、変動の影響を受けにくいTSP法の紹介を行う。

2.       TSP信号

TSP信号は、青島パルスから改良を重ねられ,現在では右式に示されるものが使われている。



 

        



・低周波域から高周波域まで各周波数をスイープすることにより、大きなエネルギーをもった音響信号からインパルスレスポンスを計測できる。

【利点
1】 暗騒音の影響が大きい環境下での測定が可能。‐15-20BS/N比でも可。


さらに、帯域制限を施したTSP信号を使うことにより、対象周波数範囲外の外乱の影響がなくなる。
【利点2】 対象とする周波数範囲を自由に設定可能。
時系列上の波形から、伝播経路の異なる到達音(反射音、透過音、回折波等)を分離して評価できる。
【応用例】 「騒音低減効果の大きい吸音版の開発(建設省)」における斜入射吸音率の測定方法として採用。
全周波数帯域の応答をまとめて測定でき,後でフィルタリング処理を施すことにより各帯域の応答を求めることができる
【利点3】 測定の効率化

3.   測定例   


4.       応用範囲の制限

音圧波形そのものを信号処理するため、伝播系に位相変化などの揺らぎがある場合、正確なレスポンスが得られない場合がある。そのような場合には、別の測定方法(M系列変調相関法)の適用が望ましい。



参考文献:青島伸治,「パーソナルコンピュータを利用した信号圧縮法によるパイプ内音場の測定」,日本音響学会誌、40,146-151,1984

鈴木陽一 他、「音響系の伝達関数の模擬をめぐって(その2)」、日本音響学会誌、4544-501989.

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