聴覚は回復できるの?

 聴力は20歳をピークにして40歳頃から老化が始まり,難聴の始まりは騒がしいところでの聞き取りが悪くなるとか,聞き違いが時々あります.ただし聞き違いについてはその人の持っている語意の数により異なります.すなわち,いつも話している言葉と違う言葉が出てくると聞き違えが多くなるということですね.また,いつも話している人の声はわかりやすいとかありますね.これは自分と話している人のタイミングに合わせて大脳からのフィルターが蝸牛(音を電気信号に変換するところです)にかかり(Oligocochlear bundle)聞き取りを良くしているのです.このため,電話での聞き取りは当然悪くなります.テレビ電話ももう少しリアルタイムでないと難聴者には不利ですね.

 蝸牛はアナログデジタル変換機ですがその構造上トランジスタやICとは異なり機械的な可動部分があり使えば使うほどその部品が故障していきなす.使わないのが一番ですが,文化的な生活をしている限りこれは無理でしょう.出来るだけ大きい音は聞かないことが一番の老化予防です.なぜか,女性は男性より耳の老化が遅いといわれていますが,男女雇用均等法が施行された現在ではこれも平等になるのでは無いかと思います.やっぱり,職場は家庭よりやかましいのです.

 だいたい聴覚レベル(厳密にいいますと騒音のdBとは少しだけ違います)で30dB(ひそひそ声ぐらい,もしくは夜寝静まったころの時計の音とかぐらいですね)を超えると人からもまた自分でも耳が遠くなったなーと感じるようです.しかし,これくらいでは医者にみなさん来ませんね.だいたい50dBを超えると医者にかかるようです.この程度だと普通の声でも聞き落としがあるからでしょうか?

 老化による難聴を回復する方法は私もかなり探したのですが,薬では治らないですね.フランスではトマティス研究所というのがあり,そこの先生がいうには外国人がフランス語を聞き取れないのはフランス語知らないからではなく高音を聞く能力が無いからだといってます.しかもこれは訓練によって聞き取れるようになるというのです.訓練の詳しい方法は秘密みたいですが,何でもモーツァルトを聞かせているようです.そのほか詳細不明です.これは私の怠慢かもしれませんが,何しろ福井という地方都市に住んでいるもので...東京にはその訓練を行っているところもあるそうです.自分としては訓練方法としてラジオを聞くのはいいですね.実際に良く使われている日本語のアクセントや語句を聞くことは聞き取りに役立ちますからね.いまに遺伝子工学が進めば再生の機序もわかるでしょうし,現在では鶏ぐらいは実際再生できるみたいだけど,これが実際の聞き取りに役立つほどかどうかは怪しいですね.すごく聴覚は複雑ですから...

 地上に上がってから蝸牛なんてものが出来たわけだけど,魚類にしたら元は側線(魚の体の横にある姿勢のアンテナみたいなものです)だからね.水の中にいれば難聴なんて無かったのかもしれないけどね.でも,側線とは比べようも無いほど高度になった分,壊れやすいので困りますね.何と耳のいい人は雪の降る音までわかるそうだから(ー20dbぐらいかー?).その時耳の中の振動と来たら1オングストロームがぐらいだしすばらしいですね.

 音は脳幹(脊髄と脳をつないでいるもの)をとおって大脳に行くけど,直接扁桃核(これは本能の固まりですね)にもつながっているので音楽がその人の気分を悪くしたりムードを盛り上げたりしていますね.一般に若いときは強い刺激(大きな音や絶え間無い音)にも耐えられるけど年を取るとこれが耐えられずうるさいということになるのでしょう.たぶん脳内の伝達物質の量が減っているのでただ大脳へ刺激が伝わるだけで,辺縁系での伝達が行われないということですね.つまりビートがぐっとくるとかがなく歌詞に感動するなんてことになります.まっ,それ以外に大脳辺縁系に直結しているのならその人の生まれ育った環境にも影響されるのでしょう.脳内の詳しいことは専門外なので許してください.

 外耳道の短い人は(つまり頭の小さい人)は高い音が良く聞こえ,反対に顔の大きい人は低い音が良く聞こえるらしいですね.何でこんなことが気になるかというと同じ人が出す声が人によって音が違って聞こえるということなのです.つまり,ある人には心地よい声でもある人には気に入らない声に聞こえるということです.それでもって頭の大きさは声の高低にも影響するのでなんかここを研究するとおもしろいなーとおもっています.カエルにしても鈴虫にしても鳴いているのは自分の存在を雌に知らせるためだから,発声の周波数は完全に相手の聞こえる周波数に会わせているし,(虫なんか鳴き声を断続音として聞いているから,結局ブ,ブ,ブーなんてかんじで聞いて相手を知るわけだから,人間みたいにいい声だねなんていってられないでしょう)ここのところを考えると頭の大きいヒト(からだの大きい人)の声は同じく頭の大きいヒトに良く聞こえるようにサインを送っているわけですね.でも人間だから声で相手を選ぶかといえばきっとルックス重視でしょうね.ずっと夜ならいいけどね.

 一度壊れたものは治らないということになると,聞こえを良くするのは訓練以外の方法といえば補聴器ですかね.外国では考え方の違いかもしれないけど,補聴器を使う人が多いですね.アメリカは日本の5倍くらいで人口あたりにすると2.5倍かな?やはり,狩猟民族は自分を守るのは自分しかいないという感じですね.農耕民族の日本人は収穫などみんなと一緒に仕事することが多いのでみんなと違うことをするのを嫌がるみたいです.補聴器も目立つからいやだとか,つけている人がいないから恥ずかしいとかね..でも,自分がもし使うなら耳孔式で両耳装用ですね.ちょっと高いけど,まあ軽自動車ぐらいかな?そんなに買い換えるものでもないし,自動車ぐらいは長持ちするしね.いつも使うものだし.別に補聴器屋の親戚があるわけじゃないけど,高い骨董品を買うくらいならこちらのほうが良いですね.

 とにかく,この世は音があふれすぎている.最初に騒音規制したのは確かアメリカの蒸気船の汽笛が聞こえる川辺に住んでいる人たちだっけ.もっと,音についても環境庁,労働省も気と配ってくれないと騒音に弱い人もいるんだから.現在の85dBで8時間以内といってもこんな法律,昭和43年にできたものだし,経済優先の時代はそろそろ見直すときなのだからもっと規制を厳しくしてほしいよね.騒音が血圧を上げる原因にもなっているんだし...なんと言ってもヘレン・ケラーも一つだけ感覚を取り戻せるなら聴覚を取り戻したいといってるくらいですからね.

 なんか,聴力改善と銘打っておきながら,ずいぶん話がはずれてしまったが,難聴予防をいいたかったわけです.でも次回は元に戻さなきゃね.(戻るのか?)

 これだけ説明して訓練だ補聴器だと言うのは怒られそうなので,簡単に聴力を改善する方法があります.耳に手の平を当てて聞きたい音の方向を向くことです.これで12dBは改善します.これを両手ですれば15dB良くなります.15dBはどれくらいの音かと言えば音圧にすれば5倍くらい音が強くなります.扇風機の弱の音が中になったくらいですね.これでも会議とかは指向性(聞きたくない雑音を遮断できること)もありいいと思います.

 でも少数でもこのホームページを見てくれる人もいるし,応援もあるので続けようかと思っています.本当は専門は平衝(めまい)だけど,聴覚についてはとても興味があります.平衡感覚の研究は宇宙旅行が始まる2010年ごろには主流になっているかもね.


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