耳毒性(聴力と平衡に障害を起こすこと)

たくさんの医薬品が耳に対して障害を起こすことが知られています。たとえば、アミノ配糖体、抗生剤、ループ利尿剤、抗腫瘍剤です。一般的には高音の感音性難聴を起こしますが、ループ利尿薬による難聴はフラットな難聴を起こします。また、薬剤によっては、聴覚に障害を起こすタイプと、平衡に障害を起こすタイプがあります。

アミノ配糖体抗生剤

グラム陰性菌、ブドウ球菌、マイコバクテリアに使用します。難聴は両側性に起こり、不可逆的です。外有毛細胞の基底部がやられるため、最初は高音部が傷害されます。傷害が発生する時期は、薬剤投与後、2,3日から、数ヶ月と一定しません。障害の度合いは投与された薬の量や回数や期間に比例します。また、腎毒性もあり、腎臓が傷害されると耳毒性も強くなります。

最近は耳毒性の強いストレプトマイシンは使われません(米国)が、もし聴力が傷害されたら、アミノ配糖体の投与を中止しなくてはいけません。

そのような副作用を避けるには、定期的な耳鼻科的聴力検査が必要です。また、自覚的にもめまいや耳鳴りがしたら副作用の兆候が考えられます。年齢が高いほど、腎機能が低下しているほど、もともと聴力の悪いほど、騒音にさらされた人ほど、高血圧なほど、以前にアミノ配糖体を10日以上投与された人は、副作用が出やすいです。また同時に利尿薬を併用されると更に副作用が強くなります。副作用を早く知るためには、8000Hz以上の超音波の聴力検査や耳音響放射検査、平衡機能検査が必要です。


補足

聴力に障害を起こす薬剤 ヂヒデロストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、バンコマイシン、エリスロマイシン(可逆的)、キニン、シスプラチン

平衡に障害を起こす薬剤 ストレプトマイシン、ゲンタマイシン



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