いびきに困っていませんか?

正式な病名は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と言います。

この病気の方は血中の酸素飽和度が、ヒマラヤのエベレスト山に登る以上の低酸素状態になります。毎晩、そんなことを繰り返していたら、身体には大変な負担になります。低酸素状態が続くため、赤血球が増え、多血症にもなります。また、心臓が弱っている人は心不全や狭心症を起こします。

日中眠たい、いびきが大きい、高血圧、不整脈、仕事に集中できない、性欲が衰えた、記憶力が落ちたなどの症状が有りますが、これが、夜に熟睡できないことが原因とは気がつきません。既婚者で男で30ー50才代の人が多いです。女の人では更年期以降に増えてきます。

奥さん以外の人と寝る機会(慰安旅行や入院したときなど)に人から言われて気がつくときが多く、自覚症状がないことがこの病気の怖いところです。また、交通事故を繰り返して起こす人もこの病気が疑われます。それ以外には、性格の変化があり、イライラして短気になります。

アメリカではスリーマイル原子力発電所の事故やスペースシャトルチャレンジャー号の事故も眠気によるミスが原因と言われています。奥さんの睡眠不足やご主人の失業で離婚の原因にもなります。

当院では内科的、手術的に治療が出来ます。治療方法を簡単に説明しますと、内服、ダイエット、人工呼吸器、歯科のプロテーゼ、軟口蓋形成術です。

もし、寝ているときに息が10秒以上止まればこの病気です。

この病気に特徴的な顔は
だんご鼻、首が短い、厚ぼったい唇、赤ら顔、鼻筋が曲がっている、あごが小さい、いわゆる重役顔です。ただし、中枢(脳)が原因の場合は体格では判断できません。

検査 

上気道の閉塞や狭窄がないかファイバーで検査します。続いて、以前はは入院して睡眠状態を筋電図や眼球の動き睡眠の深さ(脳波計)を検査しましたが、現在では、在宅でいつもと同じ環境で入院せずに検査が出来るようになりました。

治療

薬物療法 1)アセタゾラマイド(ダイアモックス) 唯一保険適応があります。緑内障の治療薬でもあります。脳内のCO2濃度を上げて、換気障害があると脳に思わせて、換気量を上げる薬です。長期間の服用では腎結石や代謝性アシドーシスによる障害が出ることがあります。2)気管支拡張剤 保険適応がありません。3)抗うつ剤 睡眠時無呼吸はレム睡眠中に出現すると言われているので、レム睡眠を抑える三環系抗うつ剤が適しています。レム睡眠中には上気道の筋肉が弛緩し反対に骨格筋は緊張します。このため、無呼吸が起こりやすいと言われています。保険適応がありません。4)プロゲステロン療法、閉経後にいびきが増えてくるので、この年齢には、ホルモン補充治療を行います。薬剤療法の欠点は適応がかなり限られていることです。もともと、上気道に狭窄のある人に換気を促しても無理です。あと、長期間の服用ではやはり副作用が問題になります。

手術的療法、歯科的装具 軟口蓋の形成術や舌の部分切除、鼻の通りを良くする手術があります。主に耳鼻咽喉科医師が治療することになります。歯科的には下顎を前に出すようにプロテーゼを付けて寝ます。長期間の使用では、顎の関節に負担がかかります。

人工呼吸器 やっと、今年から保険適応になりました。CPAP(持続的陽圧経鼻人工呼吸器)鼻にマスクを付けて、自分の呼吸に合わせて、器械が空気を肺に送り込んでくれます。手軽なため、海外ではよく使われています。

生活習慣のみなおし

減量

飲酒を控える 飲酒は脳幹の呼吸中枢を機能低下させたり、上気道の筋肉を弛緩させます。

睡眠薬の常用の制限 睡眠薬は上気道の筋肉の弛緩します。

禁煙 咽喉頭の慢性炎症による腫れが減少します。

睡眠時の体位の工夫、横向きが良いです。そのためには枕を変えたり、背中にテニスボールを貼ると良いと言われています。


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