丹後半島一周行き当たりばったりツーリングレポート(な,長い)


 2008年5月4日(日)。旅行の初日だ.だからといって別に早起きはしなかった.執事に起こされることもなく、いつもの時間に自然に起きる。旅行も人生もマイペースで行くのが疲れず長続きすると思う。旅行で体調を崩すのが一番良くない(いままでは冬の京都や春の名古屋や秋の東京など).客死するひとは最近では少ない.マスコミは医療の地域格差と騒いでいるが,医療も全国でかなり平均化された証拠だと思う.

 食事の時間だから食べなくては身体が弱ると考えるのは年を取ったためらしい。それが証拠に赤ん坊はお腹がすいたら夜中であろうとミルクを飲む。自分が年寄りじゃないことを示したかったが、つい9時に朝食を食べてしまう.小さい頃から忘れ物が多いので持ち物の最終確認を行う。今回はアマゾンやヒマラヤを経由する予定は無いからいたって軽装備である。何も装備しなくても良いくらいである.でも服は着た方が見栄えが良い.それから予約したホテルにはLANがあるらしい.所有している数少ないノートパソコン中で軽いThinkPadT41を持って行くことにした。もし無一文になったら金に換えられる。乗っていくクルマは最後まで迷ったけれど、840Ciはホテルの駐車場に入るか心配だったのでレグナムで行くことにした(この判断が後で良かったことがわかる.京都の道は狭いのだ)。遠出なのでいつもより丁寧にクルマの点検をして10時過ぎに自宅を出発した。ゴールデンウィークの中日と言うことでクルマは少なめ、旅費の節約のため、高速に乗らないで国道8号線を南へ向かう。眠くなりそうなのでBGMを聞きながら運転をした.ホテルのチェックイン時間までにはかなり余裕があり、天気にも恵まれてこんな日のツーリングは最高だ。これで宿泊場所も決まっていなかったらもっと自由だけど、部屋が満杯だったりしたら野宿になるから仕方がない。武生のICについたのは10時30分。8号線はここから海岸沿いになり大型トラックで混雑するので高速を利用することにした。ところで今回初めてETCを使うので、ちょっと心配したけど無事通過。ゴールデンウィーク中は時速20km以下で通過しろと看板に書いてある.スピードメーターをじっと見て時速20km以下になるように気をつけていたら入り口にある人がいる電話ボックスみたいな箱に当たりそうになった.高速道路に入るとさすがにたくさんの県外ナンバーがあふれていた。それに自分の車の音も大きくなり幾分緊張する.高速道路を使ったら急がなきゃ損と思っている人が多く、追い越し車線をかなりの速度でとばしている。それがたまにしか運転しないサンデードライバーだったら事故を起こさないか心配になる。そのうち心配を通り越して,いらいらしてきたのでサンデードライバーを追い越した.そのまま右車線を走っていたが前が詰まっていたので走行車線を走ることにする。以後これを繰り返した.敦賀まではトンネルが多く、それにカーブが多いので要注意だ。特にトンネルを抜けてすぐにカーブがあるし、カーブの途中からトンネルが始まって車線が狭くなるから危ないのだ。ここを設計した人は高速道路で運転をしたことが無いのかも.トンネル走行に気をつけているうちに敦賀ICに到着。ここからは小浜までは国道27号線を使う。しかしICを降りてすぐに渋滞に巻き込まれ,せっかく抜いたサンデードライバーたちに追いつかれる.

 若狭の海はきれいなので関西の人たちには人気がある。でも観光地化すると地元の人の心がきれいじゃなくなるのは残念だ.時間は午後1時、気持ちは若者でもお腹は時間厳守の年寄りである.ファーストフード店は混んでいたので小浜市内のAコープで菓子パンとお茶を購入。車の中で食べた.おなかがふくれたところで少し眠くなり車中で昼寝も考えたが、コーヒーを飲んでリフレッシュ!舞鶴若狭自動車道を目指す。久しぶりの長距離のツーリングなのでMioポータブルナビを使った.これを使えば道を間違ったのはナビのせいにできる。それに器械だとわかっていても音声案内があると賑やかだ。一人旅でも寂しくないように、時々冗談を言ってくれたり、話しかけてくれるナビもあるらしい。レインボーライン入り口や三方五湖遊覧船の入り口を過ぎるとすぐに小浜西ICへの表示があった。家の玄関かと思うくらい地味な作りだったがETCは使えた。しかし、道幅が狭い.対面通行なのでそんなにとばすわけにはいかない。時速70km制限だったけど、中央線に立っているポールが気になる。最近レグナムのトーインを強めたのからだと思うが,ハンドリングがシャープすぎて高速の狭い道は運転しづらい.後ろから速そうなクラウンが近づいてきたので時速80Kmまで増速。空は真っ青で薄雲が少しだけ流れている。自分としては雲一つない日本晴れは日差しに負けそうであまり好きじゃないから、ちょうど良い。絶世の美人とは話しづらいのと同じである.そのうちすれ違うクルマや追いついてくるクルマもなくなり綾部JCTを通過。ここからは綾部宮津道路と言うらしい。ちょっと一休みということで、由良川PAに入る。森の中のPAで人家は全くない。聞こえるのは鳥の鳴き声と観光客の嬌声だけだ。それにしても観光客は少ない。道もすいているし、すぐに宮津に着きそうだと思ったのは大きな間違いだった。ここでトイレを済ませ、自販機でお茶を買った。舞鶴大江ICを過ぎると9kmの渋滞有りと表示されていた.しかし,有料道路を降りて宮津市内に入っても渋滞は終わらず、だまされる。宮津市の人口は2万人、ここは休日は観光客で人口が10倍になりそうである.結局2時間もかかってしまった。歩きたくはないが,歩く速度と同じである.気温もどんどん上昇し28度になる。混んでいる有名な観光地は期待はずれが多いので,クルマの窓からちょいと見て天橋立観光は済ませた.松林がそれらしいが下から見ると余りよくわからなかった。 

 ここから海岸沿いから分かれて、山道に入る。すると急にあたりが暗い雰囲気になった。夕方だからかもしれないが、そんな感じの町だからかもしれない。天気が良いのでバイクに乗って旅をする人もぼつぼつと見かける。グループでツーリングをする人たちが多い。たぶん先頭のバイクにまたがっている人が引率者であろう。ベテランは少ない人数で行き先も決めないで旅行するはずだから初心者かもしれない。辺りもすっかり暗くなった。京丹後市は盆地だから夕方になると一気に気温が下がり、肌寒く感じる。人間が機械にうんうんと従う様はあまり見栄えが良い物ではないが、機械を論破するのも大人げないのでカーナビの指示をだまって聞く。本日の宿泊所であるプラザホテル吉翠苑を目指したところ裏口から入るように指示してきた。ついでに勝手口から入って注文を取ってくるようにとは指示されなかった。どうやら私のことをこのホテルの使用人と間違えたようだが、何はともあれ無事にホテルに着くことができた。プラザホテル吉翠苑は階段の絨毯が派手で雰囲気は地元の芦原温泉のホテルのようである。テレビは福井よりはたくさんのチャンネルが入る。一部のチャンネルは有料のようだ。無料の情報はろくな物はないが,有料なら何かためになるはずだ。後で試してみることにする.インターネットは無料らしいから持ってきたノートパソコンをつないでみた.メール以外は何の支障もなく接続できた。結構速度は速くチャンネルGYAOの映画もちゃんと見られたよ。「ふむふむ、海外のテレビドラマもやっているね。」でも同じことをしていると家にいるのと変わりなくて旅をしている気分が無くなるのでほどほどにしておいた。非日常的なほうが旅をしているか若しくは避難生活をしている気分になるというもんだ。蛙の声が聞こえるくらいだから繁華街なんかはなさそうだし、暗くなってから着いたのでお食事処がどこかわからない。外の建物も見たところでは民家か食堂か区別しにくい。無難にホテルのレストランを利用することにした。生ビールを注文する。旅に出た開放感から、2杯もいただいてしまった。これが後々ミスを招くことになる。翌日のツーリングに備え、夜更かしはせずに11時にはベッドに潜り込む。寝る前に内田百閧フ文庫本を読んで旅気分を盛り上げた。本日の走行距離 243km。

 5月5日(月)。翌朝は8時に起床する。目が覚めたところで朝食を摂りに昨日のレストランへ行く。バイキング形式で洋食和食とも用意されていた。家族連れが多いけど、なぜか宿泊客じゃない人たちも普通に食事をしていた。ホテルの人に気安く挨拶しているところを見るとたぶん近所に住んでいる人たちである。出発の準備を整え、といっても昨日と同じ荷物だが、レグナムに乗り込む。昨日使おうと思ったら壊れたドリンクホルダーが気になったので、直そうかどうか迷っていたがやっぱり直すことにした。直していたら思っていたより時間がかかる。ホテルを出たのは10時30分だった。
 ホテルにもらった観光地図を見た。地形のデフォルメが激しく,現在位置がわからない。山ばかり見たので海を見たくなり近くの琴引浜と言うところへ向かう。和食が続いたのでたまにはカレーにしようという気分である。ここは鳴き砂が有名らしい。砂が細かいので足で踏むと鳴くらしいが、なぜ細かいと音が出るのかは説明してなかった。途中から雨が降り始めるし、気温も昨日とくらべるとかなり低い。私以外の人の日頃の行いが悪いせいである。こんな日は海は荒れているし色も悪い。乗りかかった船なので途中で引き返すわけにも行かず進んだ.最初ナビの誘導は饒舌だったが正確な道路がわからなくなると、無口になる。ナビの不安が私のお腹にも影響を与え、それに加えて昨日のビールが効いてトイレに行きたくなる。途中の海産物店でトイレを借りる。お礼に何かを買っていこうと思ったが、財布をクルマに忘れてしまい、丁寧にお礼だけして済ませた。もうナビを当てにするのはやめて立て看板に従って進んでみる。行き止まりにならないかという不安の中、ようやく琴引浜に到着した。しかし、海水浴シーズンでもなく,加えて雨が降っているというのに駐車料金が1000円と高い。クルマから観光客が数人程度、砂浜を歩いているのが見えたが、雨も本格的降り出したので通過するだけにした。次にどこへ行こうか例の観光地図を見ていると近くに甲山(かぶとやま)から見下ろす久見浜湾と書いてある.どうやら見晴らしが良いところがあるみたいだ。

 バカと煙は高いところが好きと言うが、私もその代表だ。その場所をナビに教えて、国道178号線を南進、12時頃に久美浜オートキャンプ場に到着。雨もやんだので、歩いて湖とも海ともわからない水のそばへ行くが、遊泳禁止と書いてあった。波もないしきれいな浜だけど遠浅じゃないようだ。向こう岸にはホテルがたくさん立っていたが、こちら側はキャンプ場だけである。水の中から怪物とかUFOでも出てこないかとしばらく見ていたが飽きてきたので、駐車場へ戻る。季節が早いせいかもしれないが、キャンプをしている家族は2,3組しかいない閑散とした静かなところだ。昼間は良いが夜は怖い。いい心霊スポットになりそうである。ここへは大勢で来た方が良いとおもう。
 何かおもしろいことは無いかと近くを散策していたが、何事もなく午後1時近くになった。漫画のような観光地図も何とか読めるようになってきた。次はNHKの連続ドラマの舞台になった伊根町の舟屋群を目指すことにする。まったく我ながらミーハーである。ナビに言われるままに進んでいるとどうやら丹後半島を横断するようだ。丹後ふるさと病院でトイレ休憩。病院の入り口近くの駐車場はいっぱいだった。今度は急ぎじゃなかったので遠くの大きな駐車場にクルマを止める。木製の自動ドアだけが「ふるさと病院」らしくみえるが、それ以外は近代的なビルである。このドアはあとづけのようだ。粗大ゴミの集積所から持ってきたものかもしれない.休日なのに診療でたくさんの人が待合室にあふれていた。トイレは空いていたので、患者の振りをして入った。さっさと出口に向かうのはあやしくに思われそうなので、足を引きずりながら外へ出た。
 今日の出発点であるプラザホテル吉翠苑の前を通り東へと向かう。徐々に道が狭くなり、カーブも険しくなる。山越えじゃなくて丹後半島の海岸線を通れば良かったと後悔しながら、引き返すのもくやしいので、ナビに言われるまま進んでいく。途中の山道で迷い,同じ道を通る。散歩している人に何度も会うのは気が引けた.ようやく天橋立の北端に到着する。お腹もすいたので、橋立大丸シーサイドセンターで遅い昼飯にする。エビ天ぷらうどんをいただく。ここのうどんはやけに腰があるので,徳島の讃岐うどんみたいだった。レストランからは天橋立が見えたが、意識しないとただの森である。特産品センターでショッピングをする。自分の土産として丹後ちりめんの小さな風呂敷と漬け物を買う。
 薄暗い雨の中、178号線を北上する。右手に若狭湾が一望できて、晴れていたら景色の良いところである。そのためリゾートホテルがたくさん建っていた。田舎に住んでいる人間には考えられないが、都会の人にはリタイヤしてからこういうところに住むのが夢らしい.田舎もしばらく住むと飽きのだが。更に雨足が強くなり、気温もぐっと下がる。前方の視界が悪くなるし、道は狭くなるし、たまらずスピードダウン。後続の地元のクルマには悪いけど安全運転。伊根町にはいると更に道は細くなり、ついにすれ違いもお互いに譲り合わないとできなくなる。うちの廊下より狭い。クルマがすれ違うことは想定外だ。細いつづら折りの道を長い間進むとようやく伊根の舟屋群に着いた。道路の隅に小さな案内図があって、舟屋への道が示してあったが、それほど観光客に期待していない看板だった.雨も激しいし歩くのは大変そうである。15分ほど考えたがきっぱりと男らしく断念する。軟弱なやつと思うかもしれないが欲張らないのも楽な旅のスタイルだと思う。時刻は午後3時。辺鄙なところに居るとずいぶん遠くに来たような気がする。時間に余裕を持ってホテルへの帰路につく。
 帰りは国道178号線の海岸寄りを通って帰る.徐々に道が登っている気がしたが、気がつくと海は遙か下である。霧がかかって全く先が見えないのでこの世ではないような不思議な感覚になる。おまけに道は悪くて所々崖崩れで片側交互通行になっている。実際には怖い目には遭わなかったが、豪雨で崖崩れが起こらないか心配だった。この山道にはいるとき降水量が多いと通行止めにになると書いた門があったが。私たちが通過した後でその危険降水量に達したらいったいどうするつもりなのだろう。そんな危険な旅をするつもりはなかったが、後の祭りである。途中にドライブインがあり一休み。他のクルマも続々と入ってくる。緊張と疲れでちょっと休みたくなる場所だ。ここで休んでドライブインの思惑道理になるのもいいが,更に暗くなりそうなのでリクライニングしただけで出発する。リクライニングしたままで運転したいが,ハンドルに手が届かない.普通の姿勢に戻す。ここから海岸線から外れて緊張も解けた。
 その後は何事もなく峰山へ戻ったが、ナビの縮尺を広域にしていたため、ホテルの位置をロストする。近くにまでは来るのだが同じ所をぐるぐる回っているようだ。縮尺を小さくしたらなんとかホテルにたどり着けた。近所のスーパー佐藤で今日の夕食とビールとつまみを買ってホテルには5時に到着。しばらくしてから夕食をと思ったが、我慢できず食べ始めてしまう。そのうちに酒も回っていつの間にか寝てしまう。一時間後、目が覚めてお風呂に入る。大浴場もあるが、ホテルの廊下は道路と同じなので浴衣で歩いてはだめらしい。着替えるのが面倒になり小浴場(内風呂)で済ませる。風呂上がりにビールを飲みながらテレビを見る.テレビ東京は見たことがない番組ばかりで新鮮だった。インターネットのチャンネルGYAOでスターゲートのTV版を見てから寝る。本日の走行距離212Km。

 5月6日(火)。快晴。旅の最終日である。せめて2週間くらいは旅を続けていたいがそんな時間も金策も都合がつかないので帰ることにする。直行で帰るには時間の余裕があるのでどこか見て歩くのに良い場所はないかと考えていたが、ここへ来る途中であった峰山運動公園に行ってみることにする。立て看板に従って運転すると途中から遊歩道になる。階段もあるしクルマでは通れないのでナビを使うことにする。無事に峰山運動公園(峰山球場)に到着した。丘の上にある駐車場にちょうど日陰が見つかったのでそこに止める。そこから見えるスタジアムでは峰山高校の野球部と思われる人たちが練習していた。一年生と二年生はユニフォームの汚れと日焼けの度合いが違う。速い球でのノック練習に驚きながらしばらくは見ていたが、やっぱり飽きてきたので、いつものように高いところにある展望台に登ってみることにした。しかし遊歩道の途中の切り株に羽アリの巣があって、そのそばを通るとブンブンと大群で飛んでくるためたまらず逃げ降りた。
 もう渋滞は十分に堪能したので、少し遠回りになるが福知山を経由して帰ることにした。しかしナビにいつの間にか天橋立へと誘導されていた。途中で気がついてUターンする。帰り道は盛り上がらないので、昨日スーパーで大量に買ったお茶やミネラルウォーターをやけ飲みながら運転する。山越えをするので上り下りが強いが道幅が広くて交通量も少ないため平均スピードは高い。法定速度だと軽自動車にまで煽られる。急いでいるクルマには先に行ってもらい、景色と運転を楽しんだ。山ばかりだけど.福知山市まで来ると急に町並みが開けて交差点がたくさん出現。ナビを信じ切れず再びロスト。目についた公園で停車し、地図を再確認し福知山ICへ向かう。ようやく舞鶴若狭自動車道に入り一安心できた.ここからはほとんど高速道路を使ったので、あまり書くこと無い。北陸道に入っても相変わらず飛ばす車が多いが、帰りなので走行車線をゆっくり走る.行く時よりも大人に成長していた。小浜市内で昼食を摂る。カツ時の山かけ牛丼ははじめて食べたけどおいしかった。遠回りにもかかわらず予定より一時間以上早く着く。自宅到着は午後4時過ぎ。今回は大学時代以来のクルマのツーリングだったけど、ナビのおかげで順調に旅行できた。感謝.

本日の走行距離256km。総消費ガソリン52l。燃費13.6km/l。


最初に戻る