高台の形のいろいろ 
            平成20年2月24日 


   趣のある高台作りを目指して

  陶の器の足にあたる部分は「高台」と言われ、安定性を得ること、入れた物の熱を直接伝えないことなど実用的な利便性があるとともに、作陶においては釉薬が流れ落ちて棚板に貼り付くことを防ぐ目的もあります。また、安定感や斬新さなど作品のイメージ作りにおいて大きなウェイトを占める部分でもあります。ここでは、おおよそ理解の範疇にある高台の形のいろいろについてまとめておきます。作陶の参考になれば幸いです。
<注>伝統的に名前が定着しているものは(伝)と表記し、九隆庵が分類したものは(九)と表記してあります。

輪高台
(伝)
 最も一般的な形。安定性に優れ、作り方も難しくない。一般的すぎるので変化のある趣を出したい場合は、高台の高さで変化を出す場合もあるが、持ちやすさなど、使う立場に立って考えるべきであろう。

二重高台
(伝)
  焼成時に底が沈み込んでしまうような大物の鉢などの制作では採用する方法なのだろう。小物では重さも増して手取りが悪くなるので、あまり使われることはないのではないかと思える。

三日月高台
(伝)
  輪高台作りで、敢えて中心をずらして削り込んだような高台の形。趣は感じるが重量バランスは崩れている。変形した器を作る場合に敢えて重量バランスを取るためになら考えても悪くない。

ばち高台
(伝)
  高台の付け根から下に向けて広がりを持たせた形。三味線のばちに似ているのでこの名が付けられている。安定性がよいので、手に持たない鉢などには実用的でよい。湯呑みなどで用いると高台の端が手に当たり違和感を感じるかもしれない。

切高台
(伝)
  高台の一ヵ所を切ってあるもので、高台に趣が出てとてもよい雰囲気になる。切り方はざっくりとへらで切り取り、切り取り口の躍動感を出すのがいいかと思う。丁寧に撫で付けるように高台を作り、丁寧に切り取ったのでは切り取った意味を感じにくい。高麗茶碗など趣のある茶碗に用いられている。

割高台
(伝)
  切高台の切込みを数ヵ所入れたもの。2ヵ所、4ヵ所だと碗物などを重ねて紐でくくるのに適しているので、昔の陶器商が考えたということを聞いたことがある。割って切り取ることで高台自体の重さは軽くなるので、高い高台を考えてもよいが、焼成で変形することは避けたい。

兎巾高台
(伝)
  頭に被る兎巾に似て、高台の中央部分が盛り上がっているもの。器の内底が平らでなく中央部分がへこんでいる場合は自動的に兎巾の形状にしないといけなくなる。この場合もざっくりと削り取るかどうかの判断は作品の雰囲気全体から考えないといけないだろう。

竹節高台
(伝)
  竹の節のような形状に削り出したもので、装飾として楽しめる形だ。やはり竹をイメージしてしまうので、茶碗などを制作する場合、全体のイメージと合うように考える必要があるかもしれない。

碁笥底高台
(伝)
  碁石を入れる碁笥の底のような高台で上げ底になる。事実上、足がないので釉薬を掛ける場合、垂れ流れて棚板に貼りつく恐れがある。流れやすい釉薬は避けたほうが無難かもしれない。(作品の下に下敷きを敷いて敢えて垂れ流すという荒業はあるかもしれないが…)

三足高台
(九)
  三つ足高台は器の底に円錐状の足を貼り付けた鬼の頭のようなものが多い。円錐形の器や深い長皿の足としてデザインされることが多い。三つ足自体を長く大きくして足を見せる器もある。

丸玉三足高台
(九)
  三つ足のパターンの一つとして、丸玉の粘土を貼り付けてファンシーな作風にする場合もある。

四足高台
(九)
  名前のとおり四足の高台だが、四足にすることで焼成後の足の高さのばらつきは出てきやすい。しかし三足に比べて安定性がある。足の形状は四角が無難なように思える。成形は削り出しでも貼り付けでも趣はあるが、高台自体が重くならないように注意する必要がある。

デザイン高台
(九)
  高台を底から見て楽しむために、高台を掘り込んだりしてデザイン化された高台。十字に切って部分的に掘り込んだり、桜の花びら模様に掘り込んだりしたものなどがある。きめの細かい土を使い丁寧に掘り込む必要があるが、荒々しく仕上げてみても面白いかもしれない。

二文字高台
(九)
  二の字のように高台を貼り付けたもの。見る角度によって見える形の変化が大きいので、ついつい底を見たくなる高台。底の直径よりはみ出さすか、はみ出ないように収めるかで趣は違ってくるように思える。

切り抜き高台
(九)
  高台に切抜きを入れることで、高台に注目させるとともに、高台部分の軽量化も図れる。いろいろなデザインが考えられ制作は楽しい。

馬上杯型高台
(九)
  高台を長く高く作る方法。馬上杯は高台部分を握って利用できるように考えられた器であると思うが、スマートな形状から洒落た酒器などに採用されていることがある。高台の内側はしっかりくり抜き、重くならないようにする必要がある。

四角高台(伝)   高台を四角く成形する方法。四角の器には自然に四角高台が付けられるが、円形の器でも高台だけは四角くする場合がある。


      高台の形はさらにいろいろあると思います。分類上必要なものはさらにUPしていきたいと思います。

             
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