土で作る楽しみ 
    平成19年5月の作品   
 


   
   H19年 5月4日                          画像にカーソルを置くと別画像になるものもあります。
  
     3月はイベントでの依頼品制作があって、相当忙しい思いをしましたが、以後は割合自由に成形できました。
    今回の焼成では、白化粧の2重がけ、黒釉薬の安定感のテスト、緑色系の釉薬のテストなどをしました。
    白化粧は素焼き化粧土のそのままのものと、共土を強く混ぜたものとの2種類を用意して、2重かけしました。
    共土を混ぜたものは、もう少し黄色みがでるかと思いましたが、ほぼ白のままでした。でも雰囲気はとてもいいです。
    黒の釉薬は安定して発色しています。天然木灰によるにじみやたれがいい雰囲気です。
    織部はまたしても失敗しました。思った色ではありませんでした。基本的に考え方を変えなければなりません。
    その他、まあまあのできですが、織部がだめだったショックは当分続きそうです。
 
沓型片口鉢:赤鉄砂土 素焼き化粧土 木灰透明釉:化粧土に共土を多めに混ぜたもので2重かけしたが、共土による変化は少ない。化粧土の自然でワイルドな流れはとても心地よい感じだ。口辺はやや厚めにして櫛目模様を入れたが、これもいい感じになった。長16.0 短13.8 湯呑み:土、化粧土、透明釉は左に同じ。このシリーズは3月に大量に制作したもの。胴の部分に変化を持たせるために、ろくろ目を強く入れてあが、成形後にひねりを入れるため、口周りが歪むことがあり、失敗作も生まれやすくなる。失敗分を考慮して多めに制作しておくことで難を逃れた。高7.2  径10.4 手びねり長皿:土、化粧土、透明釉は左に同じ。手びねりと化粧土はよくマッチする。濃い部分と薄い部分をどういうデザインでかけ分けるかが悩みどころだが、深く考えず、かけるときの気分を大切にしたい。躊躇すると中途半端になるので、ためらいだけは避けたい。口辺にギザギザの飾りを入れた。長21.0 短11.6

丼鉢:赤鉄砂土 漆黒釉+いぶし釉+木灰:木灰の粒粒があぶく状になりやすいので、乳鉢で十分にすった後混ぜた。結果としてあぶくは減り、きれいな肌になった。黒の丼鉢で食べる白いうどん、白いご飯は旨いはず。ひねってある分、歪みが出たのが残念だが、日常使いには問題がないだろう。 高9.2 径14.0 湯呑み:土、釉薬とも左に同じ。この黒の発色の仕方、微妙なたれ、触感は以前より求めている黒の器にかなり近いものとなっていて、とても嬉しい。難を言えば成形をもう少し厚くして、重厚感を出せるとよかった。成形にも注意を払いたい。口辺の歪みもなくいい出来になった。高:8.2 径11.2 湯呑み:赤鉄砂土 外側は青銅マット釉 内側は白化粧に木灰透明釉かけ:内側の白と外側の緑とのコントラストがとても気持ちよい。特に外側の青銅マットは岩に生えた苔をイメージさせる釉薬の載り方です。青銅マットは赤鉄砂土との組み合わせでいい発色をしてくれる。高7.8 径10.5

湯呑み:赤鉄砂土 乳濁灰釉:全体に乳濁灰釉をかけて、白濁+たれのイメージを狙ったが、白濁ではなく薄い紫の体をなしている。たれは出ているが、全体に釉のかかりが薄すぎる。次回の釉かけの時は思い切って厚めにかけてみたいが、紫が混じるのを避けるために土を変えてやってみたい。高8.2 径11.0 湯呑み:赤鉄砂土 内側と口辺の外側だけ織部釉 織部以外は木灰透明釉:口辺の外側は割合きれいな緑色になっているが、内側は茶色。釉がろくろ目に引っかかって、段々の模様を作ってくれたのはなかなかいいが、基本的に茶色が好きでないので、あまり嬉しくはない。高9.2 径11.5 中丸平皿:信楽赤荒目土+五斗蒔白土 全面青銅マット釉:赤鉄砂土で発色したような色合いを期待していたが、青銅マット本来の発色になった。これが基本なのだから文句は言えない。全面的にきれいに発色していて、ろくろ目周辺の釉の絡みもなかなかよい。この釉のかかりは今後の参考になる。径18.4 高3.4

中丸平皿:信楽赤荒目土+五斗蒔白土 口辺のみ下地に織部を塗っておき、以後全面青銅マット釉かけ:やはり下地に織部釉があった部分は青銅マットが織部釉に負け、透明感が出ている感じになった。とても渋い皿になった。渋すぎてこの皿に何を盛ると似合うのか想像ができない。径18.2 高2.8 広口中鉢:信楽赤荒目土+五斗蒔白土 市販の織部にほんのわずか二酸化銅を混ぜた釉薬を刷毛塗り:かなり厚がけしたつもりだったが、織部の発色は刷毛を最初に置いた部分に限られていて、全体として黄色のイメージになった。個人的には好きではないが、見方によってはいい渋さが出ているとも言える。径16.8高5.4 中丸平皿:土、釉薬は左に同じ:こちらの皿も左と同様の発色になっているが、平皿の分だけ、単調に見え模様というより斑のように見え、雰囲気は最低になっている。成形は入念に行っている分、ガッカリさが増すというもの。家で使う予定だが家人がこれに何を盛るかがとても楽しみであり、恐怖でもある。径20.0 高3.8

四角しのぎ皿:土、釉薬は上の皿に同じ:織部の濃淡を出すために成形時に金属のへらで強くしのぎを入れた。凹には多めに釉薬を置いたのでデザイン的にはうまくいった。酸化第二銅混ぜによる発色はいい感じだが、全体が黄色すぎるのはいかがなものかと…。もう少し白土を多くしたい。長22.5 短17.5 手びねり楕円皿:信楽赤荒目土+五斗蒔白土 白化粧二重かけ 木灰透明釉:共土の部分が黄色くなることを予想してかけた化粧土が変化せず、単調な感じになった。織部の点をアクセントにして打ったが透明釉に混じって溶けて、ぼんやりとした模様になってしまった。長22.0 短15.6 信楽赤荒目土+五斗蒔白土 白化粧欠き削り 口辺に織部かけ 木灰透明釉:白化粧を削って木賊模様にしてみたが、かわいさが漂うのみで、深みがなくなった。湯呑みとしては使いにくく、突出しの小鉢として使う分にはいいかもしれない。径10.0 高6.8

信楽赤荒目土+五斗蒔白土 白化粧の上に共土白化粧の模様入り 木灰透明釉:これも共土の変化が少ないため、模様が沈んでしまった。でもその分シンプルとなり意外と使い勝手はいいかもしれない。ミニサラダなど盛ってもいいかもしれない。径11.8 高6.4 湯呑み:赤鉄砂土 素焼き化粧土 木灰透明釉:部分的に丸に削って模様を入れてみたが、余計なことをしてしまった。自然な化粧土の流れの中に、人工的な○の模様は場違いな感じがする。径8.5 高8.0 ミニカップ:赤鉄砂土 青銅マット釉:青銅マットがむらなくかかりきれいな感じになった。お茶を飲むには小さいし、ぐい呑みでは大きいし…。かわいいので小花でも活けておくといいかもしれない。径7.5 高6.8


うまくいかなかったものもありますが、忙しい中で何とか焼成できてよかったです。
とにかくやってみてデータを取っていかないと、進歩はありませんからね。
織部はまた考えます。あまり明るい緑では趣がないし、かといって沈んだ色では暗すぎるし…
加減が難しいところです。
白化粧の共土混ぜでまたしても失敗してしまいましたので、
今度は酸化第二鉄混ぜで挑戦するかもしれません。
青銅マット釉と赤鉄砂土の組み合わせは、今後も幾つか作ってみたいと思います。