土で作る楽しみ 
 平成21年12月の作品   
 


   
   H21年 12月12日                
                                    
   

 9月の焼成からは、随分時間が経ちました。やっと本焼きが完了しました。
今回はぐっと渋めの器たちです。粘土は赤土系。素地にさらに変化を加えるために内側には白化粧を部分的にかけ、外側と口辺には漆黒釉の黒、そしてその間をさまよう黄色の釉の流れを出すために流動性の高い伊羅保釉を吹きがけしました。ねらい通り、伊羅保は漆黒釉も溶かし、垂れています。蕎麦鉢、蕎麦猪口、蕎麦つゆ入れ、薬味入れの「蕎麦セット」は上手く出来ました。その他には、化粧土かけのシチュー皿や小鉢などもまあまあいい感じでした。
 右は漆黒釉が伊羅保釉によって、溶融している部分のUPです。緑色の発色が見えます。溜まりの部分も味わい深くなってます。

 年末、いよいよ忙しくなり、成形すらも困難になるかもしれませんが、時間を作って頑張ってはみたいと思います。何よりもインフルエンザが怖いですね。



茶漬け飯碗:信楽赤土に白土のMIX土 黒は漆黒釉 内側に白化粧土かけ:やや大きめの飯碗です。口の部分も薄くせず、どっしりとした作りにしました。奥の方も同サイズですが、やや垂れが多いです。径16.4 高8.0 左のUP画像:中央部は化粧土に黄伊羅保釉かけです。伊羅保はかけが薄いと茶色に、厚いと黄色になりますが、丁度いい具合になっています。化粧土の境目で伊羅保の垂れが止まっているところが、幸いしました。化粧土がなかったら下まで垂れていたでしょう。 蕎麦鉢:土や釉薬は左に同じ:やはり内側の角度がないために、垂れはあまり出ていませんが、渋さはあります。化粧土の部分の伊羅保は変化がほとんどありませんが、化粧土なしだったら汚くなっていたかもしれません。径20.8 高5.4

蕎麦鉢の内側:土や釉薬は上に同じ。:漆黒釉を伊羅保が完全に溶かし込んで、透明化して素地が見えている部分があります。不思議なものです。 蕎麦ちょこ:小さい作品ですが、内側の釉の変化はそこそこ楽しめます。白化粧土の上で緑色に発色しているのが、嬉しいですね。径9.0 高7.0 蕎麦つゆ入れ:縦への角度があるので、垂れはよく出ています。浮いて流れた部分の緑色と、下地に残った粉っぽい茶色のコントラストがいい感じです。長径12.4 短径10.5 高6.5

薬味入れ:てびねりで成形。あえて縁の高さなど揃えずに、楽しい形にしました。底の部分の伊羅保の発色が安定していて、きれいに見えます。長11.8 短7.5 湯呑:写真映りが悪いですが、実は今回の焼成の中で、一番いい垂れ具合をしているのがこの作品です。垂れてさらにマットな部分、てかりのある部分がいい具合に現れています。径12.4 高7.5 湯呑:左側は外側が全部漆黒釉。右側はかけ分けしています。口辺を薄くして作ってみました。お茶の味わいがよく伝わると思います。伊羅保をもう少し厚くかけるべきでした。径10.4 高6.4

丸皿:漆黒釉と化粧土の境目は、光沢があり単調な出来ですが、化粧土の白が生きていて、面白い雰囲気になっています。やや厚めの成形でどっしりとした安定感があります。径22.6  スープ皿:赤土系粘土 素焼き化粧土 木灰透明釉:同じように化粧土をかけましたが、微妙に味わいが違っています。もう少し深い鉢にした方がよかったかな?径16.0 高5.2 たたら四角皿:古信楽白荒目土 櫛目と引っかき線に酸化第二鉄入れ 中央部を残して黄瀬戸釉吹きがけ:端の黄瀬戸釉の部分はいい雰囲気ですが、中央部はやや汚れが目立ちます。 長19.5 短15.6
小皿:赤白MIX土 素焼き化粧土 古代呉須 木灰透明釉:青海波文様です。呉須は薄目にしてみました。土の鉄粒がぽつぽつ出ているのと相まって、古い時代のイメージです。径9.0 三つ足小鉢:素焼き化粧土 木灰透明釉:発泡スチロールの型にたたらを押し付けて成形。器を一周する線を削りで入れています。可愛い感じです。径9.0 高6.8



            渋い感じを追求した今回の焼成。
            伊羅保釉は、流れやすい釉薬で、使い方を誤ると汚い作品になってしまいますが、反面、釉の自然な
            流れや溶融を表現するにはなかなかいい釉薬です。
            釉を溶かすために、土灰などを吹きかけたりしますが、伊羅保釉はそれだけで表現力があるので
            結構重宝なものかもしれません。
            「蕎麦セット」はそこそこうまくいったので、安心しました。
            その他の作品も、まあまあ使える物になったのでよかったです。
            さて、次回はどんな挑戦となるでしょうか。
            失敗しないように、慎重に取り組みたいと思います。