土で作る楽しみ 
       平成22年8月の作品  



  

平成22年 8月29日


歪み鉢:明日香釉全面かけ 素地の上に青が広がり、その上に緑ががった濁りが乗っているという印象です。きれいに焼けて嬉しい限りです。長径16.6 短径15.4 高6.3

 盆までに素焼きを終えて、本焼きは何とか8月中にという計画でしたが、8月末にやっと焼き上げることができました。ほっとしています。今回は還元焼成をしました。1100度からガスの炎を入れて、1220度で電源OFF。そのまま冷却に入ってもガスは入れ続け、1100度まで下がったところで栓をしました。いわゆる還元落としという方法でしょうか。いつも還元が中途半端なかかりなので、今回は思い切ってやってみました。で、結果はまあまあでした。
 素地は濃い茶になり還元がかかっていることがよく分かり、渋い雰囲気がよく出ています。釉薬は還元で発色しやすいものをチョイスしましたが、砧青磁の釉薬は青が弱く、透明釉のような仕上がりで残念な感じです。明日香釉はとても味わいがあるものとなりました。また、黄瀬戸の還元で緑が発色することが確かめられたのは、とても嬉しいことでした。
 今回も作品に黒釉で(九隆庵) のマークを入れましたが、思い切ってよく見える部分にも入れて、デザインとして楽しめるようにしたものもあります。

 

酒器セット:藁灰白萩釉刷毛塗り 注ぎ器内側や盃内側は木灰透明釉 部分的に無釉:注ぎ器の肩の部分、盃のお腹には櫛目を入れ、この櫛目辺りで藁灰釉薬の特徴である緋色が出るようにしています。九隆庵マークは釉抜きで肩に入れてデザインにしています。高台は外にスカートのように広げて変化を出しました。藁灰白萩釉の濃淡が白濁りとなって出て、全体に濁るよりは趣深い感じになっています。注ぎ器 径7.8 高12.5 盃 径6.8 高3.2


酒器セット:白天目釉 注ぎ器の上部は無釉 盃内側は木灰透明釉:ぽっちゃりとした注ぎ器と平たい盃のコンビネーション。平たい盃は酒がこぼれないように平らに持ち、しかもぐいっと呑まなければならず、豪快に飲むスタイルを誘います。盃の高台内側は九隆庵お得意の菊花文様にしました。盃を逆さにしても楽しめます。注ぎ器 径9.5 高13.0 盃 径8.3 高3.2


飯碗:外側は明日香釉 内側は木灰透明釉:外側の明日香釉は部分部分によって、錆のように滲み出ていたり、また青緑色の濁りとなって浮き出ている部分があり、とても渋く仕上がりました。内側は透明釉だったため趣が足りません。今度からは全面掛けにしたいと思います。口辺の反り具合も気に入っています。径14.8 高6.3


歪み鉢:内側中央部は化粧土掛けの上に木灰透明釉 黒い部分は漆黒釉 間の黄色い部分は黄伊羅保釉:歪んだ器に動きのある刷毛塗りの釉薬の垂れやかすれなどを組み合わせました。おおよそ狙っていた渋さは出ました。伊羅保は薄く掛かると茶になりすぎて物足りないし、厚いとベタな感じになり、なかなか扱い難いですが、何とかまとめることができました。長径20.2 短径18.5 高6.5


盃:上の歪み鉢の意匠を小型化したもの:小さくても存在感ありです。漆黒釉の刷毛塗りのムラが昔風の印象を持たせてくれます。長径9.1 短径8.2 高4.2 豆皿:黄瀬戸釉:釉薬焼成見本では、黄瀬戸が還元では緑系の発色をしていました。試しにやってみるとこの豆皿だけにはっきりと緑が見えました。今後使えそうです。 鉢:明日香釉全面掛け:ボウルの形です。外側腰の部分には少し泡立ちがあります。濃くかかると泡が出るようです。ミニサラダを入れたりするといいかな?12.9 高6.6


湯呑:内側見込み、外側胴に化粧土塗り 口辺は明日香釉:明日香釉の発色はいい感じです。化粧土の部分も明日香釉を上掛けしてもよかったかと思います。口辺の薄い反りがお気に入りです。径10.8 高6.0 豆皿のいろいろ:上2枚は黄瀬戸釉 下は化粧土に古代呉須絵付けに木灰透明釉:微妙に薄く緑ががってはいます。絵付けの方はグレーがメインになっています。 酒注ぎ器:化粧土 木灰透明釉:外側に強く削りを入れて化粧土を埋め込みました。手に馴染みますが、面白い変化はなし。自宅使用用になりそうです。径8.7 高11.8


酒器セット:砧青磁釉:くちばしを鋭く尖らせて、お酒を注ぎやすいようにしました。本当は少し青っぽく仕上がるかと思いましたが、普通でした。径8.5 高13.2 猪口径5.0 高6.5 湯呑3種:砧青磁釉:どれも薄造りで軽くできています。他の器でも同様ですが、1個の器の中でも還元のかかり具合で、色合いの違う部分があります。 中皿:砧青磁釉は基本的に白土か磁器土に掛ける物かもしれません。半磁器土で成形したときには試してみるかもしれません。径17.7 高4.6



   砧青磁釉の発色は謎になっていますが、今回の還元焼成はほぼ満足はできました。
    冷却時の還元掛けは、かなり有効なように思えます。次回からはこのパターンになりそうです。
    明日香釉薬は変化があって楽しめそうです。歪み鉢のイメージもおおよそ具体化できてOKでした。
    
    暑い夏でしたが、汗をかきながら、成形、素焼き、釉掛け、本焼きとこなすことができ、よかったと思います。
    秋はまた忙しくなり、成形もおぼつかないことが予想されますが、何とか時間を作って取り組みたいと思います。
    次回もまた、頑張ります。