土で作る楽しみ 
      
                 
    平成23年2月、22年12月の作品 

  
平成23年 2月5日



歪み小鉢:金彩マット釉、伊羅保釉、木灰透明釉:金彩を多めに掛けて垂れるようにしました。成形時に鉢の腰の部分を、きゅっと指で両サイドから絞っておいたのですが、それがとてもよい雰囲気になりました。かなりお気に入りです。長径14.0 短径12.1 高6.4

 今回は1月の焼成と、忙しくてUPできなかった12月との2回の焼成を合わせて載せます。
1月は14点ありますが、ほぼ碗・鉢もので、釉薬を掛ける部分の掛け分けパターンは同じにして、釉薬の種類や掛け方(厚さ、刷毛塗り、吹き掛け、重ね掛けなど)に工夫して変化を楽しみました。基本的に口辺周り、見込みから茶溜まりまで、茶溜まり部分の3ヵ所で掛け分けています。今回はかなり渋く仕上げました。どうぞご覧ください。土は信楽白土に赤鉄砂土、はぜ石を僅かに混ぜたもので、全て生土化粧土掛けをしてあります。

 

湯呑:漆黒釉、黄瀬戸釉、木灰透明釉:黄瀬戸が薄かったため茶色の発色になっていますが、黄瀬戸に木灰を僅かに吹き掛けした部分は伊羅保の雰囲気になっています。この雰囲気は今後使えそうです。径11.4 高7.0
飯碗:漆黒釉、黄瀬戸釉、木灰透明釉:やはりこれも黄瀬戸は茶色になっていて黄瀬戸のイメージからはほど遠いのですが、意外に渋くなっています。漆黒釉がマット状態なのが好き嫌いが分かれる所だと思います。径14.2 高6.8 歪み鉢:漆黒釉、伊羅保釉、木灰透明釉:薄目の伊羅保が刷毛塗りのテクスチュアーを表現しています。やはり漆黒釉の塗り方が今一つです。刷毛で丁寧に塗ることは大事ですが、丁寧さを見せては勢いが弱まります。ライトな感じで普段使いにはいい感じです。長径19.2 短径17.1 高6.4

猪口:漆黒釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:螺旋状に捻り上げた形です。志野がぽってりと張り付いているのがとても立体的なアクセントになっています。外側は透明釉を掛けていないので、さらっとした感触がとてもよくなっています。いい出来でした。径6.7 高5.2 中鉢:漆黒釉、黄瀬戸、木灰透明釉:黄瀬戸が濃い茶色になり、素地のグレーとのコントラストが強くなっています。木灰を筆でさっと擦り付けた部分は垂れがでていてアクセントになりました。径16.6 高6.0 歪み鉢:錆釉、伊羅保釉、木灰透明釉:口辺のぽってり感から想像できる重さと、手取り感がぴったり合うように成形しました。錆釉のてかりが心配でしたが、丁度いい具合にてかっていてうまく焼けました。はぜ石の雰囲気もよいようです。長径17.7 短径16.8 高7.0

飯碗:錆釉、伊羅保釉、木灰透明釉:普段使いに丁度よいサイズです。伊羅保の濃淡は外側でよく出ています。口辺の錆釉薬掛けを少しだけにしておいたので、ライトな感じになりました。径12.3 高7.2 飯碗:錆釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:志野の立体感が器の平板な面では返って違和感があります。志野を掛けるのなら全体的ではなく、ごく部分的にアクセントとして掛け、その他は無釉でもよいかもしれません。径12.3 高6.9 片口碗:金彩マット釉、黄瀬戸釉、木灰透明釉:ろくろ目を生かして成形したので、ろくろ目に合わせて釉の濃さに変化が出て、それが面白さになるかなと想像していましたが、黄瀬戸は平板でした。でも逆にシンプルな印象になっています。長径14.5 短径12.7 高7.7

歪み鉢:金彩マット釉、伊羅保釉、木灰透明釉:渋い実に渋い。金彩のマットな感じと伊羅保の刷毛塗りの感じがうまく溶け合いました。さてこれに何を盛ると美味しそうかな?刺身を盛ったら美味そうですね。長径19.0 短径17.0 高5.5 湯呑:金彩マット釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:多くは志野が薄く掛かった部分に朱鷺の色に近い赤い色が出ていますが、なぜか厚く掛かった部分でも、乳濁の下に緋色が見えます。こういうのが良いのか悪いのかの見極めはまだできていません。径10.3 高7.5 猪口:金彩マット釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:やはり志野は素地土の鉄分に反応して緋色を出しているようです。化粧土の部分では緋色はでていません。口辺が反った愛らしい猪口になりました。径7.0 高6.7

湯呑み:金彩マット釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:内側にも志野釉を塗ったので、内側もやや茶色っぽく発色しています。やはり志野は部分的が良いかと思います。同じ白同士でも化粧土との組み合わせは結構いけます。径11.0 高7.0


   平成22年 12月の焼成

12月は大物の花器を焼いたため、小物は藁灰白萩釉の酒器セットのみでしたが、これが実は今一番のお気に入りになっています。形の妙、勢い、遊び心をうまく表現できたと勝手に思っています。

酒器セット:五斗蒔白土と信楽白土の混成土、藁灰白萩釉、緋色釉:やや大きめで、持つことが楽しい注ぎ器を作りたくて、成形には苦労しました。緋色の出方も良く、見ても楽しめます。注ぎ器と猪口のデザインも統一しました。注ぎ器径11.2 高14.8 猪口径7.5 高7.0


花器:古信楽赤土、明日香釉:輪積みで成形したものに、さらに薄く伸ばしてちぎった粘土を貼り付け、まるで城壁風な印象にしました。明日香釉は濃く掛かった所できれいに青緑に発色しています。おおよそ予想通りの仕上がりでした。何よりも割れずに、水漏れせずに焼けたのが良かったと思います。この花器で正月の生花を飾りました。長41×短19.5 高24.5


   今回はかなり渋く仕上げてみましたが、いかがでしょうか?
    やはり金彩釉は渋さ抜群。錆釉はてかりがあり心配しましたが、これが実はいい雰囲気を出しています。
    漆黒釉はマットな印象で、刷毛塗りのテクスチュアーがもろに出てしまうので、要注意です。いい加減な塗り方はできません。
    心を無にして一気に描き上げるようにしたいと思います。
    化粧土塗りをベースにすることで奥行き感が相当違います。面倒でも目立たなくても、化粧土を生かす作品にしていきたいです。
    
    12月の焼成の酒器セットはかなりお気に入りです。欲しいと言われてもしばらくは嫁に出せないですね。
    大物の花器はそこそこうまくできたのですが、やはり窯を独占してしまうので、他の作品は全然焼けませんし、
    もし失敗していたらと思うとぞっとしますね。

    大雪になって、除雪作業ばかりの毎日。体中が痛くて、少し風邪気味ですが、
    また頑張って創作活動していきたいと思います。春は、きっと…もうすぐでしょうから…