土で作る楽しみ 
     平成23年3月の作品     



   平成23年 3月13日

  


酒器セット:五斗蒔白土と信楽白土の混成土、火色釉、素焼き化粧土、織部釉、木灰透明釉:やはり織部は薄い。化粧土の流れ具合はいい感じ。火色釉にも透明釉が掛かった状態なので、火色の発色は抑えられてしまいました。注ぎ器:長径12.5 短径10.4 高10.0 猪口:長径7.6 短径7.0 高4.5

 今回は本当は還元焼成をしたかったのですが、織部や金彩釉の作品を先に焼いておこうということで、酸化焼成をしました。
 織部の作品は、火色釉と素焼き化粧土を垂らし掛けで薄く掛け、さらに部分的に織部釉を掛け、最後に木灰透明釉を掛けました。化粧土の上への織部釉掛けというスタイルは、以前、釉剥がれが起きたので今回は化粧土も薄目、織部釉も薄目に掛けてみました。その結果、釉剥がれはほとんど起きませんでしたが、反面、釉が薄く迫力に欠けました。予想イメージとは違う印象ですが、しげしげと優しい目で見てみると、何ともはかない淡い印象が漂っている感じです。まあ、これはこれでいいかな?と思ったりもしました。春に桜を愛でながら呑む時にはこういう淡い感じもいいかもと…。
 金彩釉の方は、九隆庵にて作陶をしたお客さんの湯呑みの作品に釉を掛けたものです。黄土の赤に金彩釉の金黒が映えた感じで印象としては予想通りでしたが、はぜ石の白の点がややうるさすぎます。お客さんの成形では、粘土を最終成形するときの、粘土の押しが弱かったことも原因の一つではないかと思っています。粘土の押しが弱いとはぜ石が浮いて出るような印象があります。やや不本意ですが、何とか利用してもらえればと思っています。
 その他、黄土に青銅マットを試しに掛けたものも焼いてみましたが、あぶくが出ていました。粘土の強い鉄分が影響したのか、はぜ石の長石の影響でしょうか?部分的に青銅色が出ている部分もあり、印象そのものは悪くはないのですが、あぶくは厳禁ですから、やはり普通に白土で焼いた方が無難でしょう。 

 

酒器セット:くちばしの部分の造作は、薄い粘土を貼り付けた雰囲気をそのまま残しました。織部は比較的よく発色しています。猪口の櫛目の手触りはとても良く、また溝に織部がひっかかっているのも楽しめます。注ぎ器:長径15.0 短径10.4 高9.3 猪口:径6.7 高5.0
歪み片口鉢:くちばしは一気にぐいっと引き締めてあります。ろくろ目、櫛目を大きくしてたので、溝に化粧土も溜まっています。織部釉にごく僅かな釉剥がれが見られます。溝の化粧土の上に乗った織部の部分です。本当に織部は冷却の際、強い収縮力がありますね。長径16.6 短径14.4 高7.5 歪み鉢:これもろくろ目、櫛目を大きくしたものです。織部は薄く、火色も薄くなっています。やはり火色釉には透明釉を掛けない方がいいのですが、実際の使用になると、水のしみ込みが起きてしまうので、難しい判断となるところです。長径16.7 短径15.2 高7.5

歪み飯碗:織部、黄瀬戸マット釉:碗の胴の部分に丸く平らな部分に絵を描き、黄瀬戸マット釉を薄掛けしました。絵柄は夏の青海波に千鳥、裏側は秋のつるし柿と格子の生け垣です。黄瀬戸薄掛けは色が濃く出るので、ちょっとまずいかなと焼きながら思いましたが、まあまあでした。.長径13.6 短径13.2 高7.3 湯呑:絵の部分がかなり黒っぽくなってしまいました。ちなみに裏側の青海波はまだましです。とてもとても薄い織部ですが、家人には意外と人気なのが謎です。春らしいということですが、春以外ならだめなのかもというところです。径11.0 高7.3 歪みぐい呑み:織部、黄瀬戸マット釉:同じものを2個成形。釉の厚さ、窯内の焼いた場所の違いなどで、色合いは違っています。絵柄の部分の黄瀬戸の発色は丁度よく、絵も良く見えます。ろくろ目の手触りと軽さが、いい感じです。長径7.4 短径6.6 高5.5

湯呑:織部、黄瀬戸マット釉:全体的に織部は薄く、緑よりもやや青い印象すらあります。高台の部分の黄瀬戸マットの茶色が、下部を引き締まった印象にしています。このパターンは今後も生かせそうです。これも家人には人気でした。径12.0 高8.2 大皿:織部は写真右側上方部に僅かに見えます。やはり剥離が怖くて、織部を薄掛けした結果です。火色も薄いですが、汚い印象にならなかったのが救いです。淡い印象なので、逆に色々な食材を盛るには合わせやすいかもしれません。径21.0 高5.5 片口小鉢と湯呑み:黄土に青銅マット釉掛け:あぶくが出ています。はぜ石の長石が透明化している部分があることから、青銅マット釉の成分が長石の融点を下げ、また黄土の成分が青銅マット釉を溶かしやすくしたのかもしれません。

手びねりの皿:黄土に青銅マット釉:皿の側面にあぶくが見えます。あぶくがない部分は渋い焼き上がりです。 来庵者の作品:黄土、金彩マット釉:最終成形、底削り、釉掛けは九隆庵で行いました。

   今回は、化粧土掛けの上に織部がうまくのるかが課題でした。
    釉剥がれはほとんど出なかったのですが、印象は弱め。
    化粧土掛けは生土で掛けることで、剥離が起きにくくなり、本焼きでは織部を厚く掛けることができるかもしれません。
    火色の透明釉との重ね掛けは、はっきり言って火色が出にくくなるので、今後は×ですね。

    絵の上に黄瀬戸マットを掛けるのはかなり難しい感じです。色の濃さの調節が結構難しいです。
    青銅マットはほとんど使わない釉薬ですが、今後、いろいろ試してみる価値はありそうです。
    
    
    東日本で大地震、大津波が起き、さらに原子力発電所が崩壊して大変なこととなりました。
    災害が起きるということを前提にした、安全な国造りを怠ってきた政治家には、失望しました。
    失われた命はあまりに多すぎます。残念なことです。