土で作る楽しみ 
     平成23年7月の作品     



   平成23年 7月3日

  

 
 前回の焼成の3月からは随分時間が経ちました。いろいろ忙しかったり、忙しくなくても余裕がなかったりして、焼成までに持って行くのがなかなか難しかったわけです。今回は、ご近所の方の陶芸体験の作品や子供たちの絵付け作品の焼成が中心で、自分の物は3点だけという、異例のバージョンです。
 釉薬は明日香釉という窯変釉薬で、還元焼成をしました。どちらかというと還元を強めにかけたかったので、冷却開始後から1100度までガスを入れる冷却還元を実行しました。結果は微妙で、青が出てほしかったのですが、全体的には緑が強く出ました。また、炎の流れに沿って色むらもありますが、景色として楽しむことにします。表面はよく溶けたガラス質で光沢がきわめて有り、その下に広がる青緑の層が立体的に感じられ、そこそこ満足できる焼成となりました。が、ご近所の方が満足してもらえるかどうかは、何とも言えません。
 ここでは紹介しませんが、子どもたちの作品は化粧土に古代呉須で絵付けをした皿もので、予想より呉須が濃く出ましたが、ユニークで楽しい作品となりました。

酒器セット:赤土白土赤鉄砂土のミックス土 細かなはぜ石混ぜ 明日香釉:釉薬はよく溶けていて艶々です。青系を期待していましたが、緑色が強く出ました。刷毛塗りのため濃淡も出て満足しています。注ぎ器:長径10.5 短径8.0 高10.4 猪口:径5.5 高4.5 

酒器セット:注ぎ器は丸くぽっちゃりとした感じですが、持つ胴の部分は凹ませたので、意外と持ちやすいです。猪口は平たく仕上げたので、零れないようにそおっと有難く呑む感じになるでしょう。注ぎ器:径9.0 高11.0 猪口:径8.0 高3.0 湯呑:これは青系の発色となりました。窯の中の置く位置で還元のかかり方はかなり変わるのですが、どこならよいかなどはまだ掴めていません。陶芸体験の方のろくろびきの見本で成形したものですが、意外にいい雰囲気になりました。径11.0 高7.3

 

      陶芸体験の方の作品です。釉かけ、焼成は九隆庵がしました。

湯呑:ろくろびきでうまく立ち上がらず、口辺の山道はうねうねとしましたが、その雰囲気をそのまま生かして焼きました。絞った高台回り、開いた口辺の組み合わせがなかなかいい雰囲気を出しています。長径11.5 短径10.0  高8.0
飯碗:見込みの化粧土の刷毛目がきれいに出ています。外側はろくろ目が程よくあり、手にフィットする感じです。口辺はやや厚めのため割れにくく、日常使いにも十分対応できます。径12.2 高6.3 飯碗:明日香釉はほぼ茶色の発色です。茶の上に薄く青みがかった濁りが広がっています。かなり渋いので、飯碗としてもいいですが、蕎鉢としてもいい雰囲気が出そうです。径14.6 高6.0

丼鉢:これも茶の上に薄く青みがかった濁りが広がっています。化粧土の刷毛目がよく出ているので、鉢を覗き込んでも楽しめます。径15.2 高7.3 湯呑:これもろくろびきで均一に立ち上がらなかったため、口辺は高低差がありますが、アンバランスさをそのまま生かしました。明日香釉が濃くかかっているところは、細かな泡が見られます。径9.3 高8.0 湯呑:窯の中の丁度雰囲気が変わる部分にあったのか、半分はやや黒目、半分はやや緑系という焼き上がりになりました。焼酎をロックで呑んだりするにはいいかもしれません。径9.6 高8.0

   本焼きでガスを入れて還元をかけ始めたのが夜中の3時。冷却還元のため以後はほとんど寝られず、
    ガスを止めて栓をして、その後は仕事へ。さすがに眠かったですが、焼成がうまくできて、頑張った甲斐はありました。
   
    次回の焼成は窯の熱線の保護のため、酸化になるかと思います。
    織部や金彩釉など、酸化で楽しめる釉を使い、成形でも少し遊び心があるものを作ってみたいですね。

    焼成では電気を使いますので、節電とは反するものになってしまいますが、
    その分、心を込めて作っていきたいと思います。