土で作る楽しみ 
     平成23年11月の作品     



   平成23年 11月3日

  

 今回は前回に引き続き、化粧土と織部釉を構成し、渋さと奥行を出そうということで制作しました。ぐい呑みはさらに全体のフォルムに渋さを増すようにし、酒器セットは薄く成形し手取りの良さを追求しました。

 ぐい呑みのフォルムは、平たい形を先ず成形し、そこからぐっと指を底に押し込んで胴から下の部分を成形するという2段式の成形です。こうすることでしっかりした腰の部分の角度が出せます。平たいものは前回と同様の成形で、とにかく酒注ぎ器とセットになるようにたくさん成形しました。
 酒器セットの方は、薄く成形しすぎて、生土化粧土掛けで何個も割ってしまいましたが、生き残ったものはしっかり焼きあがりました。やはり酒器はセットものがいいですね。
 釉薬掛けでは、生土の段階で緋色釉も掛けて定着させましたが、本焼きではほとんど消えていました。もともと緋色釉が薄かったこと、透明釉が少しでも掛かると発色しないという二つのことが重なったようです。ただ、織部は程よい発色だったので、織部の釉を愛でながら呑むという感じになりました。

 写真写りが悪く、固い感じに写ってしまっていますが…今回はどれがお気に入りかな?

 ぐい呑み:赤土白土赤鉄砂土のミックス土(細かなはぜ石混ぜ) 化粧土、緋色釉、織部釉、天然土灰、木灰透明釉:フォルムは狙っていた感じの通り渋くできました。歪み具合もお気に入りです。緋色はほとんど出ていませんが、天然土灰の発色は控えめな渋さになって良好です。長径8.6 短径7.9 高3.3 


ぐい呑み:口辺の山道は凸凹ですが、あえて触らず、なりゆきに任せたものです。全体の歪みと山道のうねりが結構見ていて楽しめます。径7.0 高4.0 ぐい呑み:やや腰が張りすぎですが、化粧土の流れ具合はなかなか乙です。腰から下の間延び感が少しあります。径7.5 高4.0 ぐい呑み:左と似ていますが、こちらは腰から下が手びねりです。腰から上のろくろ目と、その下の手びねりの部分との組み合わせに風情が出ました。径6.4 高4.0

小湯呑み:腰高になっています。薄くできているので、夏の冷茶用として使えます。径8.4 高5.5 酒器セット:注ぎ器のお腹は凹んでいて持ちやすくなっています。お腹下がずんぐりなので、どっしり感がありますが、持つと軽いです。注ぎ器:径9.0 高11.5 ぐい呑み2個:径6.0 高2.8 酒器セット:これもお腹に凹みがあります。化粧土の流れが生き生きと見えます。織部が遠慮がちに張り付いています。注ぎ器:径8.5 高13.6 ぐい呑み3個:径5.7 高2.8

酒器セット:注ぎ器は小さいです。本当に一人でちびちびやる感じですが、ぐい呑みは5個もあり。注ぎ器:径7.5 高9.6 ぐい呑み:径5.4 高2.2 酒器セット:注ぎ器のお腹の部分は平らです。成形時にお腹を両側から板で押したものです。持ちやすいです。注ぎ器:長径9.8 短径7.8 ぐい呑み3個:径6.6 高2.8 酒器セット:片口タイプの注ぎ器です。楕円の口に透明釉がしっかりと載っていて、反射するときれいです。酒の水面を観ながら呑むという感じです。注ぎ器:胴径8.0 口周り10.0 高13.2 ぐい呑み2個:径7.0 高2.6

酒器セット:薄作りで歪みを強調したもの。これも持ちやすくしました。持った感触がなかなか良いです。やはり緋色は出てほしかった。注ぎ器:長径11.0 短径8.0 高7.8 ぐい呑み2個:径6.6 高2.5 ぐい呑みのいろいろ:酒器セットとして組み合わせができなかったもの。大きいものは径7.4.小さいものは4.8 ぐい呑みとして丁度よい大きさは、6.5〜7.0ぐらいかなと思います。 そばつゆ入れ:ろくろ成形後、底を四角にしたもの。底は一度切り外し、四角の底を張り付けています。酒を入れてもいいですが、やはりそばつゆが似合いますね。四角の一辺7.2 高9.4



豆小皿:豆皿にも同様の装飾を施しました。化粧土が程よく流れて中央付近に溜まりを見せています。写真映りが悪いですがかわいくてきれいです。径8.0 中変形長皿:自由なフォルム。縦に3本の凹み線を入れてあります。織部もうっすらと載せてあります。簡単な造りですが面白いです。長29.5 短6.8

 

      今回は、UPしたもの以外に、期限付きでどうしても本焼きしないといけない作品がいくつかあったので、
     そのため毎日仕事から帰ってきてからこつこつとペースを守って作り続けました。ただ、やはり少し無理
     があったようで結果として疲れた感じがしました。生土化粧土掛けで、幾つか割ってしまったときは、流石に
     がっくりでしたが頑張りました。
      結果としてはまあ満足できる感じですが、緋色の発色がうまくいかなかったのが残念でした。しかし、家人は
     「織部の感じがいいよ。シンプルな渋さだね。」と、まあまあの評価だったので、一応納得しています。

      次回このタイプを焼くときは、ページトップの写真で紹介した大きめの腰の張ったぐい呑みをさらに改良する
     かもしれません。釉の構成も少し変えたり、下絵具の効果的な活用も考えてみたいと思います。