土で作る楽しみ 
     平成24年4月の作品     




   平成24年 4月8日 

 今回も、化粧土の二重掛け、緋色釉、織部釉、天然土灰、木灰透明釉の組み合わせで、どれくらい自然な渋さが出るか試してみました。この釉の組み合わせは、かなり手馴れてきていて、ほぼ予想通りの雰囲気を出せるようになってきましたが、今まではどれも薄手の成形だったので、今回はぐっと重量感があるものを成形して釉掛けしました。
 結果はまあまあ良好で、成形時は「こんなに重いものが日常使用に耐えられるのだろうか?」と心配でしたが、素焼き、本焼きを経て、次第に予想以上に良い手取りとなりました。成形時に入れた櫛目やへら目が、なかなか良い雰囲気を出してくれました。また、織部や緋色は透明釉が上に掛かると発色が低下するので、微妙な加減の釉掛けになっていますが、かなりマスターできてきたと思います。

 酒器セットの徳利は底がどっしりの形ですが、かなり軽量化されています。お酒がしっかり入るように内容の容積量を確保しています。
 全体としては数もそこそここなせましたし、渋い作品も増えたので、ちょっと嬉しい感じです。…今回はどれがお気に入りかな?土や釉薬はほぼ同じものなので、ここにまとめて記しておきます。赤土白土赤鉄砂土のミックス土(細かなはぜ石混ぜ) 化粧土、緋色釉、織部釉、天然土灰、木灰透明釉。また、大きさもよく似ています。おおよそ径7.0〜9.0  高3.8〜4.8
 
1 ぐい呑み:ろくろ成形時に大きくひねりを入れています。ひねりに負けないように、さらに胴にへらでアクセントを付けました。胎土の色、緋色、化粧土の白、織部の緑が、ほぼうまくまとまりました。 2 ぐい呑み:これは櫛目を付けました。櫛目の周りの変化も楽しめます。形はシンプルですが、櫛目のお陰で雰囲気はかなり良いと思えます。 

3 ぐい呑み:へらで引き上げた分だけ、口辺が引っ張られて上がっているのが分かります。 4 ぐい呑み:胴の左側が大きくくびれ、手前の凹みにはひびが出ていますが、水は漏らず、良い雰囲気です。 5 これも胴が大きくくびれて、口辺も引っ張られています。

6 ぐい呑み:平たく成形したものです。どっしりとした雰囲気が出ています。 7 ぐい呑み:形はシンプルですが、釉の構成はなかなか味わいがあるように思えます。 8 ぐい呑み:写真では分かりにくいですが、高台はプロペラのような形状に削ってみました。

9 酒器セット:化粧土の流れ落ちる様がそのまま焼き付いています。外側の透明釉は薄いですが、内側にはしっかり掛けてあるので、漏れはありません。注ぎ器径8.0 高14.5 ぐい呑み径5.0 高6.5 10 酒器セット:底に向かってどっしりとした形にしました。安定感とともに、酒の容量もたっぷりで、大酒呑みには嬉しい形になっています。注ぎ器径9.6 高13.0 ぐい呑み径6.7 高4.3  11 酒器セット:スマートな印象ですが、高台が外に張り出しているので、かなり安定感があります。注ぎ器径7.5 高13.7 ぐい呑み径:6.6 高4.2

12 酒注ぎ器:小振りですが、意外としっかり酒が入ると思います。やや小さめのぐい呑みとセットにしたいと思います。径7.0 高11.2 13 ぐい呑み:得意の薄作りのぐい呑みです。口辺のへらへらしている様子を楽しめます。長径8.2 短径7.2 高3.8 14 ぐい呑み:胴の上部の肩とも言えるところに化粧土が溜まっている様子が分かります。長径8.4 短径7.5 高4.0

15 ぐい呑み:よく似たもの3個です。高台の傍には、四角を並べた印花を押したものもあります。 16 ぐい呑み:よく似たもの6個です。どれも軽くて持ちやすくなっています。 17 中鉢:煮物など入れるには丁度良いかもしれません。織部がアクセントになっています。長径13.6 短径12.2 高5.8

18 碗:飯碗よりは大きいサイズ。形が単調になりました。径13.0 高6.1 19 湯呑:化粧土で白くした後に、明日香釉を掛けました。黄色ベースにトルコブルーが浮き出ています。径9.5 高7.2 20 皿と湯呑のセットに豆皿3枚:湯呑みセットの湯呑は薄いので、夏用冷茶湯呑となるでしょう。

 

       肉厚のぐい呑みは、ろくろで一気に成形しないと、勢いがなくなってしまいます。決してこねくり回してはいけません。
     「土がこうなってしまった」という自然な状態が表現できないと、やぼったい重い印象になってしまいますね。
     難しいところです。全体的に力強い雰囲気が出せましたが、欲を言えば、土の質感がやや弱々しかったかと思います。
     土自体の表現力にも工夫が必要だと感じました。
     
      化粧土の二重掛け、緋色釉、織部釉、天然土灰、木灰透明釉の組み合わせについてはほぼ満足できる出来でした。
     へら目や櫛目での化粧土の動きがとても面白いので、このあたりにさらに重点的にポイントを絞って成形、釉掛けをしても
     いいかなと思いました。
     
      やっと春らしくなってきたような…。忙しいけどまた頑張ります。