土で作る楽しみ 
     平成25年2月の作品     




   平成25年 2月2日 


1 湯呑:信楽白土に赤鉄砂土混合、いぶし黒釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:いぶし黒釉はみごで一気に描き、部分的に志野を載せました。裏側は三筋のラインが偶然に出ていて楽しめます。径10.4  高6.3
 前回の焼成は9月でしたから、今回の焼成は半年近く掛かってしまったということになります。いろいろ忙しかったのとイメージが固まらなかったことが原因です。その結果、せっかく掴んだイメージであっても、時間が経つとぼんやりとしてしまって、釉かけで具体化するというのがうまくできなかったような気がします。それなりに課題を持って取り組みましたが、良い焼き上がりがある反面、失敗してしまったものもありました。
 成形では形の面白さを出すようにしました。また、焼成は還元焼成で渋さを求めましたが、弱還元のため効果は少な目です。いぶし黒釉の黒と朱鷺色志野釉の赤を含んだ白の組み合わせはそこそこ表現できていますが、少しベタな印象が気になります。明日香釉はきれいに発色していますが、もう少し青く発色してほしかったと思います。
 皿物は断面のごつごつ感を出すことを目指しました。しかし透明釉がきれいに掛かり過ぎてしまいやや陳腐な印象になってしまったのが残念です。
 印象がいまいちのものもありますが、今回はどれがお気に入り? 

2 酒注ぎ器:信楽白土に赤鉄砂土混合、明日香釉:渋い形に成形。外側は明日香釉の総掛け。青緑の釉が溶けて垂れて下がってきているのがかなり良い感じです。径8.5 高12.6 3 酒器セット:2とほぼ同様の土と釉薬:持ち手の蔓をつける部分が印象深くなるように成形しました。明日香釉の発色は少な目です。ガスの炎が当たり黒ずんでいる部分もあります。酒注ぎ器径11.0 高12.4(嘴含まず) 盃径 径7.7 高2.8 4 酒器セット:2とほぼ同様の土と釉薬:腹の部分を大きく凹まし、持ちやすいようにしました。嘴もやや大きめで印象深くなるようにしました。明日香釉の発色が上部に限られています。酒注ぎ器径10.2(嘴含まず) 高10.0 盃径7.7 高3.1

5 酒注ぎ器:白土多めの混合土、化粧土、木灰透明釉、明日香釉:シンプルで使いやすいものにしました。部分的に置いた明日香釉が思いのほか発色しています。長径10.2(嘴含まず) 短径8.5 高9.8 6 小皿:混合土 金彩マット釉、朱鷺色志野釉、明日香釉:小品ですが、印象はかなり良いです。金彩マットに代わるような渋い黒のマットの調合が課題です。辺6.8 高2.7 7 ぐい呑み片:混合土、化粧土、金彩マット釉、明日香釉、木灰透明釉:金彩マット釉の扱いがかなり難しい。大胆な掛け方が、汚く感じないようにする技が難しいです。長径7.2 短径6.8 高5.7

8 酒注ぎ器:混合土、化粧土、金彩マット釉、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:嘴の形や角度を調整し、裏漏りが少なくなるようにしました。金彩マットのみご塗りが難しく、刷毛塗りの方が良いように思えます。長径11.0(嘴含まず) 短径9.0 高8.6 9 酒注ぎ器:混合土、化粧土、金彩マット釉、木灰透明釉:優しいフォルムにしました。薄作りのため軽いです。黒茶の印象があまり良くないです。径8.2 高11.5 10 小壺:混合土、金彩マット釉:耳付の小壺です。金の発色がかなり良くなっています。胴の上を絞っているので、袋などをかけて縛りやすいようになっています。径9.8 高10.0

11 徳利:土や釉は10に同じ:九隆庵のロゴを釉抜きで入れました。裏側には別の絵柄も入っています。ついつい触りたくなる印象です。径8.3 高11.6 12 ぐい呑み:混合土、化粧土、朱鷺色志野釉、木灰透明釉:志野釉が流れずに斜めに張り付いているのがなかなか良い感じです。径6.8 高3.5 13 ぐい呑み:土や釉は12に同じ:朱鷺色志野釉に赤みが出ています。土の成分の影響、還元の効果での発色かと思えます。径6.2 高4.5

14 四角皿4枚:赤土系混合土。白と黄色の化粧土、木灰透明釉:黄色の化粧度は人工的で不似合。透明釉もよく溶け過ぎているため、マットにした方が印象が良いでしょう。たたらを折り取り、縁はざっくりです。辺14.5  15 四角皿の小皿:14の小皿で成形は同様に。同様の装飾でも小皿にすると印象はかわいくなり、丁度良い感じです。辺7.2 丸皿は径7.2 16 中皿:信楽白土を生土状態で線削りして、素焼き後、古代呉須を埋め込んだもの。線描きは竹串でOK。葉の部分は薄めた呉須をたっぷり置いて発色させています。 径19.3

17 小皿:混合土、化粧土、古代呉須、木灰透明釉:還元焼成のため、土も透明釉も渋くなっています。少し古めかしい感じが好印象です。径6.7

 

     金彩マット釉に重ね掛けした志野釉が溶け過ぎて、ブクを噴いている部分がありました。
     金彩マットのアルカリ成分が溶かしてしまったのだろうと思えます。
     金彩マットの黒は渋いですが、他の釉との組み合わせはかなり難しいです。
     また、朱鷺色志野は立体感があり今後も期待できる釉ですが、やはり扱いは難しい釉です。
     いずれも、「素敵」と「汚い」は表裏一体、諸刃の剣の感があります。
     
     明日香釉は期待通りの発色ですが、青の発色も期待したいです。
     皿物の渋さへの探求はこれからです。工夫しながらたくさん焼いてノウハウを
     身に着けたいと思います。

     集中できなくても、少しずつ頑張っていきたいと思います。