土で作る楽しみ 
     平成26年8月の作品     




   平成26年 8月10日 

冷却時に還元をかける還元落としの方法で焼きました。1220度から1120度までガスを注入。予想通り木灰透明釉は青みを帯びたグレーになっています。胎土も赤茶っぽくなっていて渋さがあります。うまく焼けてほぼ満足の出来です。  今回は豆皿の絵付けをメインにした作品です。豆皿はのぞきや薬味入れなど用途は限られるものの、何かのお礼で気軽に差し上げることができるので重宝してます。差し上げた方も大変喜んでもらえるので、差し上げ甲斐があるというものです。しかしながらさすがに数が減ってきたので、今回は数をこなすことを目的にして成形しました。
<丸皿・四角皿>
土は信楽白土と赤土の混成。さらに赤鉄砂土を少し混ぜ鉄粒が見えるようにしました。粘土は秤で同量に分け、手の中で押し広げて回転させながら成形。粘土板の上に広げて押すよりも、確実に自分の思う形や厚さにすることができます。成形後、化粧土を薄く掛け素焼きへ。素焼き後、古代呉須で絵付け。絵柄は誰にも親しまれる吉祥紋を中心にしました。同じものを4〜6枚作るので、デザインした原本にカーボン紙を敷いて写し取る方法をとりました。ここまではまあ何とかなりますが、筆で描いていくのは結構集中力が必要です。線の滑らかさ、太さ、濃さなど考えながらの絵付けとなり苦労しましたが、それはそれで結構楽しいものです。丸皿径:8.0 角皿辺:8.0
<四角割皿>
四角の縁がごつごつした皿は、はぜ石を多めに混ぜ、たたらにした後、針で薄く筋を付け、線に沿ってたたらを割って作ったものです。割口の雰囲気は粘土の乾燥具合で決まるので、粘土と向かい合いながらタイミングよく手早く成形していく必要があります。角皿辺:9.0
<鉢>
釉は「黄瀬戸マット釉」。釉の薄い部分は黒くなるので、ろくろ目を生かして、凸の部分の釉は少し擦り落としてあります。

 渦巻き模様:線の太さと滑らかな曲線に気を使いました。4枚  青海波模様:皿の周辺に向かって弧が大きくなるところが見所です。6枚 3 唐草模様:幹は太め、先は細めの基本を意識しながら描きました。6枚

4 マーガレット花紋:線が少ない分、線描きの失敗はごまかせません。6枚 5 雲形:苦労しました。線の太さで印象の違いが出ます。6枚 6 縞模様:四角皿には四角い模様を。ストライプは結構きれいです。6枚



裏側
7 四角割皿:表面は麻布のテクスチュアー。薄く掛けた化粧土が割口に少し溜まっています。10枚 8 鉢:黄瀬戸がよく溶け、還元によって緑がかっています。釉の薄い部分の濃茶も生かせました。径:17.7 高:5.0 8の裏 たっぷりと厚く掛かった釉は、ぷっくりとした手触りです。

9 鉢:こちらは茶が優位です。ろくろ目に溜まる黄緑色がかなりよい雰囲気です。径:18.7 高:5.3 10 小鉢:釉の濁りや垂れが出ていて、奥行き感が出ました。径:12.0 11 小鉢:へらで強くろくろ目を入れました。径:12.3

還元焼成による渋い雰囲気が出て、かなり満足できました。
呉須は線描き中心でしたが、呉須が釉を弾くこともなく、きれいに焼けたのでよかったです。今後、呉須の絵付けをするときは、だみ筆で色を置いていく方法も考えていきたいと思います。
黄瀬戸の還元焼成は、あまり自信がなかったのですが、還元がしっかりかかっていたことで良い雰囲気になってくれました。やはり釉の厚さによる発色の違いという特色を利用しない手はありません。最近、作陶のペースが落ち過ぎなので、今回の焼成を機に、少しペースが上がるように気持ちにも力を入れていきたいと思います。
今回はどれがお気に入り?
12 ぐい呑み:小物ですがこういうので呑むとこれまた酒が美味い!