土で作る楽しみ 
     平成27年1月の作品     




   平成27年 1月18日 

飯碗:信楽白赤混成土、はぜ石混ぜ、素焼き化粧土、酸化第二鉄、黄瀬戸釉薬、土灰:素焼きしたものに酸化第二鉄を部分的に刷毛塗りしています。塗った部分は茶色く発色していますが、化粧土で隠れた部分はまた違った発色をしています。部分的に土灰を塗ってさらに釉薬を流しています。径12.4 高5.8  前回の本焼きからもう半年が過ぎました。少しずつ成形して作り溜めていたものの、本焼きでの釉薬選定や彩色のアイデアがなかなか決まらず、もたもたしてしまいました。最終的に黄瀬戸釉の酸化焼成で、黄瀬戸の黄色が出るようにし、それに化粧土や酸化第二鉄の下地塗りなどをして彩色の構成をし、本焼きを行いました。
 黄瀬戸釉薬はシンプルな鉄釉薬のため、焼き上がりの雰囲気は優しい淡い感じになりますが、実はこの釉薬の雰囲気をうまく生かすのはなかなか難しいと思っています。成形の良さがかなり求められ、彩色もシンプルで自然さが求められると思えます。
 形は鉢、飯碗、湯呑み、中皿、小皿など様々です。うまく焼けたものもありますが、中にはあぶくが噴いたものがあります。1220度でも噴いてしまいました。流れやすい釉薬なので、釉薬掛けでは高台の底の拭き取り面を広くしたり、棚板にアルミナを塗っておいたりしたので、一部分くっついていたところもありましたが、完全に貼りつくことはありませんでした。備えあれば憂いなしです。
 見込みの様子

 湯呑:刷毛塗りした酸化第二鉄と化粧土が釉に溶け込んで、渋いよい感じになっています。口辺は一部歪ませてあります。径9.4 高5.6  ぐい呑み:化粧土が少し押されて流れています。胴を削っていますが、できた細かな窪みに釉薬が溜まって茶色くなりよい感じです。径7.1 高4.3 3 杯:所々茶が濃くなっていて渋さが増しています。底の内側は削り上げているので、とても軽いです。2個セットですが、1個はぶくが噴いています。径7.3 高5.4

4 小鉢:シンプルで優しい焼き上がりになりました。満足してます。2個ともきれいです。径8.3 高4.0 5 蕎麦鉢:おろし蕎麦用の小さい鉢。わざとろくろ目を大きく付け、釉薬が溜まるようにしました。3枚セット。1枚高台に欠けができました。径15.3 高3.8 6 小碗:ご飯を入れてもよし、お茶ならたっぷりのサイズ。化粧土がくっきり出すぎているのが少し難です。3個。径10.6 高5.4

7 鉢:煮物などを入れるのによい大きさ。これも化粧土が強い。酸化第二鉄の茶のにごりをやはりプラスすべきだった。3枚。径14.0 高6.0 8 大鉢:釉薬を流し掛けしたとき、外側はやや厚く掛かってしまったように思えます。その部分にぶくが噴いたように思えます。難しいものです。径:18.6 高:6.4 9 豆皿:小品ですが気に入っています。鉄を塗った部分の発色が相当よい。化粧土の白も主張しすぎず、よいバランスになっています。左:径8.8  右:径6.5

10 皿:たたらで成形し線削りで模様を描いたもの。しっかりとしたたたらを造れば変形もない。単調な印象ですが、普段使いならOKでしょう。魚:長18.6 葉っぱ:20.2 11 小さな仲間たち:小品ですが釉薬がきれいに溶けていて見ごたえはあります。小さいものを造るのも楽しい。

黄瀬戸釉はシンプルで奇をてらわない落ち着いた釉薬で、飽きの来ない焼き物のように思えます。今回の黄瀬戸釉と酸化第二鉄の組み合わせは、かなり満足できる結果でした。一般的に、黄瀬戸釉薬と酸化鉄の組み合わせは、下に鉄絵を描くことが本流でしょうが、絵の完成度、洗練度が問題になりますね。土味を出して造るなら今回のような感じもOKというところでしょうか?
今回の黄瀬戸釉は光沢のある釉ですが、マットなものもまた味わいが深いと思えます。しかし、さらに成形に完成度が求められるかもしれません。酸化銅との組み合わせも考えられます。酸化焼成の際は考えてみてみます。
今回は酸化焼成でしたが、時間をたっぷりとって還元焼成で渋く焼きたい気持ちが高まっています。
それにしても制作のペースが遅すぎです。いろいろなことを経験するためにも、もう少し頑張ります。
今回はどれがお気に入り?