土で作る楽しみ 
     平成30年3月の作品     




   平成30年 3月2日 

豆皿
作陶は久し振り。2年以上も本焼きができませんでした。今回はプレゼント用に豆皿を焼成する必要があったため、背中を押されました。
先ずは豆皿の出来についてです。土は信楽白土+赤土+赤鉄砂土+はぜ石のミックスです。成形時の粘土の重量は110g。焼成後は85gとなっていました。生土に化粧土を掛け素焼き。素焼きに古代呉須での線描き後、木灰透明釉を掛けました。焼成は冷却還元焼成。
化粧土はかなり溶け込んでいて、全体としては薄白く濁っているという感じ。窪んだ部分には溜まって白さが出ています。呉須の色は濃く、藍色風。呉須の部分での釉弾きが出るかもしれないと不安になったので、透明釉は厚めに掛けておきましたが、功を奏して釉弾きは全く見られませんでした。九隆庵マークの部分は釉抜きをしましたが、しっかりできていました。
窯出し直後は強還元の影響か、全体的に茶色っぽくくすんだ印象でしたが、数日経つと色が落ち着き、茶色は弱まりくすんだ印象はなくなりました。一部、呉須が溶けだしている部分がある皿が3枚ありました。やはり透明釉の厚掛けが原因だと思えますが、僅かだったのでよかったです。
豆皿は計37枚でしたが、当然同じものはなく、呉須の線の太さ、青海波の重なり方など様々なものになっています。制作したその日の気分や呉須の濃さによる筆の滑りなどが影響しています。豆皿の径9.5p 高1.6p
 最もポピュラーな皿:青海波の線の太さは丁度良く、軽やかな印象になっています。  線描きがやや細かく仕上がっているもの。ぎっしり波が詰まっているという印象です。 3 線描きが緩くなっているもの。細かいものに比べれば荒い感じがしますが、すっきり感があります。
4 豆皿を並べました。手の中で成形しているため、カチッとした造りにはなっていませんがそこが狙いです。 5 豆皿の中央部へと流れ出した呉須。もやっとした流れが見えます。まあ、仕方ないかな?

飯碗
錆釉。胎土に混ぜたはぜ石が所々顔を出していますが、そこにも釉が乗っているので感触は良好です。外側は光沢がありますが、内側は全体的にマットな結晶のような輝きがあります。この輝きは見とれてしまいます。径13.6p 高6.0p
胴の辺りで変化を付けて成形。 釉がへら目に馴染んでいます。 とてもよい見込みです。

大皿
錆釉。これも飯碗ほどではないものの、ちりばめられたマットな輝きが見えてなかなかよくできました。栗と茶のバランスがよい出来となりました。径20.0p 高5.0p

ぐい呑み2種
錆釉。釉が良く溶けています。口辺に釉が厚く掛かったため、口辺外側に釉が溜まり、黒くなっています。径7.7p 高3.0p 錆釉。外側のへらで成形した溝に釉が溜まり変化がよく表れています。径7.5p 高2.7p

四足四角小皿4枚
成形は麻布たたら作り。側面は呉須を塗りおしゃれな感じに。呉須は黒くなりました。鉄粒の黒点やはぜ石の凹凸もあり、趣が出ました。10.5p×10.5p 

その他
湯呑み:内側に化粧土をみごで掛けておきましたがそれに由来する線が一筋出ていました。径10.5 高7.1p 箸置きなど:手前の箸置きは布目成形。布目の凸凹に合わせて錆釉の茶と黒の模様になっています。


プレゼント用の豆皿は一応大きな失敗をせずに焼けて一安心です。強還元でくすんだ印象だったものが、後日すっきりしていたのが喜びです。不思議なことにこういうことはよくあることです。焼成後も緩やかに酸化が進むのでしょうか。出来た皿は、みな手元を離れていくわけなので、行き先々で可愛がって貰えたらと願っています。錆釉の作品も満足できる焼き上がりだったのでよかったです。

時間がないことを理由にして作品作りが出来ないと言い訳するのはやめたいのですが、制作が出来ない根本の理由はゆとりがないことからです。まずは有効に時間を使い、自由な時間を多く持つことで気持ちにゆとりがもてるようにしたいと思います。
今回はどれがお気に入り?