土で作る楽しみ 
     令和成4年12月の作品   




   令和4年 12月9日 


径13.0 高5.0 中央に向かって油滴が徐々に小さくなっている様がなかなかよい感じです。予想以上によい出来です。
昨年の12月に本焼きしてから丁度1年。随分お休みしていましたが、どうにか年内に焼成を完了できました。春夏秋は毎日畑作業が忙しく、じっくりと陶芸をする気持ちになりませんでしたが、やっと気持ちが高まり一気に取り組めました。今回の焼成の第一目的は「油滴釉」への挑戦でした。油滴釉は以前から古趣味という印象で興味が湧きませんでしたが、油滴の器を直に見てからはやってみたいという気持ちになりました。成形も油滴の基本形である天目茶碗を意識してみました。本焼きは弱還元を予定していましたがガス注入のホースが劣化で折れてしまったので危険な修理は止めて酸化焼成に切り替えました。焼成パターンは最高温度を1240℃とし、1240℃で1時間練らし、1150℃まで2時間掛けて徐冷、1150℃で2時間練らし、以後は自然冷却としました。予想よりずっとよい焼き上がりで満足できました。しかし同時に窯に入れた禾目トルコ結晶釉や青海波釉は不出来でした。やはり1240度は高すぎたようです。
<今回の胎土>信楽赤土:信楽白土:赤鉄砂土=4.5:4.5:1
<釉薬>小豆油滴釉、禾目トルコ結晶釉、青海波釉


径12.0 高5.7 天目茶碗を意識した形です。落ち着いた雰囲気です。 径19.0 高4.2 油滴を見せるための平皿。きれいに油滴が出ています。 径11.3 高5.5 油滴の結晶が大きく成長しています。 径12.2 高5.2 すっぽんぐちの下の油滴が少し大きめです。

径9.7 高5.4 油滴は細かい。全体にきれいにちりばめられています。湯呑サイズです。 ぐい呑み3種 中央の作品の径7.0 高4.5 高台が赤く焼けています。 禾目トルコ結晶釉が酸化焼成で高温になったらこうなったという発色。径9.1 高4.7 青海波釉 予想外の色。透明度が高く胎土の表情が見えています。右:径7.5 高5.7

青海波釉の豆皿 径9.3 不思議な色。しかし見慣れると意外に楽しめます。 他の作品 油滴の表現が素晴らしいけど細かな釉剥がれがあるものなど。


さあガス注入というところでのトラブルのため、急遽酸化焼成になりましたが、油滴釉は予想以上によい発色でした。弱還元で焼くという本来の目的は果たせませんでしたが、酸化焼成で1240度、長い徐冷で結晶の生成という基本形を確認することができました。高温で酸化焼成のため禾目トルコ結晶釉と青海波釉は融けすぎて全くもって不本意な出来でしたが、じっくり眺めていると個性を感じて結構よい感じにも見えてくるのが不思議です。
窯のガスのホースはネットで同サイズに近いホースを購入予定。早めに修理したいと思います。次回は還元焼成ですね。

写真では油滴のキラキラ感、油滴のサイズのグラデーションなどが上手く表現できていないのが残念ですが、仕方がありません。個人的には相当満足しています。今回はどれがお気に入り?