土で作る楽しみ 
     令和成5年2月の作品   




   令和5年 2月13日 

前回に引き続き油滴釉です。最初は弱還元を考えていたのですが、調べてみると還元では鉄から出る酸化ガスが窯内の還元の雰囲気のため釉の外に出て行ってしまい油滴が出にくいという話が多くあったので、とりあえず成功率が高い酸化焼成にすることにしました。曜変天目などは酸化と還元の中間ぐらいで焼いていたのではという説もあるので、将来取り組むべき課題ではあります。1240℃までは13時間、1時間練らして1150℃まで2時間で徐冷し2時間の練らし、以後は自然冷却のパターンです。毎回そうですが焼き物は火が作る作品なので「失敗してもともと」と窯に頼る謙虚な気持ちになります。
<今回の胎土>信楽赤土:信楽白土:赤鉄砂土=4.5:4.5:1
<釉薬>銀油滴釉、小豆油滴釉
径10.5 高4.8 きれいに溶けた黒の中に銀の油滴がよく出ています。見込み中央部は細かな油滴ですっぽん口の下だけ油滴が大きくなっています。油滴が色々な形になって小さな花のように広がっていますが、中にはハートような形も見えたりします。


径10.2 高5.5 油滴の大きさはかなり均一になっています。 径11.2 高4.0 平たい皿なので均一な油滴になっています。 径8.6 高5.0 小豆油滴釉。赤紫が印象的です。

径9.8 高5.6 底の中心が僅かに盛り上がっていたためその部分は黒です。 径9.6 高5.4 腰がふっくらとしている形です。 径8.3 高5.0見えにくいですが高台は竹節高台です。よい感じです。

径7.5 高4.8 ぐい呑み 口辺が薄いので酒の味が伝わりやすいです。 径7.4 高4.0 ぐい呑み 全ての器には九隆庵のマークが入っています。 その他の作品 納得できないものが多いですが今後の糧になります。


釉はよく溶けていて光沢がよいです。肝心の油滴もかなりよい出来でした。作品として納得できるものが9個ほどありました。残りもまあまあの出来でしたが1ミリ以下の釉抜けがあったり口辺の釉が薄くなっていたりしたものがありました。粘土の粗さが原因かもしれないので次回からは粘土には赤鉄砂土は入れずに水簸粘土だけを使おうかと思います。それでもだめなら練らし時間をさらに長く取ることも考えないといけません。
数をこなすことでよい作品も出来てきました。今回はどれがお気に入り?