土で作る楽しみ 
     令和5年4月の作品   




   令和5年 4月5日 

今回は「赤の釉薬に合う形」というテーマで、成形、素焼き、本焼きとこなしてきましたが、結果はほぼ失敗でした。赤は予想していた赤よりずっと暗く、しかも釉薬がひどく溶けて垂れてしまいました。今回の本焼きでは最高温度を1230℃と通常の焼成温度にし、1時間練らして1150℃まで2時間で徐冷、2時間の練らし、以後自然冷却とという冷却に重きを置いた焼成でした。赤色は釉が薄い部分に複雑な発色があるので、釉薬の厚掛けが原因としてあげられると思います。また釉が垂れたのは1時間の練らしと長い徐冷時間に原因があるかと思います。残念な結果ですが作品をじっくりと見ていると「まあこれもいいか。」という気になるのが不思議です。「鉄赤釉」の他に「藁灰白萩釉」「油滴釉」も試しましたが、それが鉄赤釉の失敗を完全にカバーしてくれて助かりました。特に「藁灰白萩釉」の掛け分けはこれまでのノウハウが生きてよい雰囲気となりました。「油滴釉」は油滴が小粒でしたがよい雰囲気でした。
<今回の胎土>信楽赤土:信楽白土:赤鉄砂土=4.5:4.5:1(藁灰白萩釉の作品)
           信楽赤土:信楽白土=1:1(鉄赤釉、油滴釉の作品)

径8.7 高6.0 赤というより茶と言う方がよいような色です。しかしよく見ると釉が薄い所や釉だまりの端には赤が見えています。高温で長く保持し徐冷したためか複雑な色の混じりが見られ、これは今後の焼成に活かされるかと思います。釉はどぼ浸けではなく吹き掛けにして、釉の厚さを微妙に変えての試し焼きに挑戦しないといけません。
 

径9.0 高5.1 口辺の釉の流れ具合がよいですが全体は茶色です。 径8.3 高5.8 肩から胴にかけて窪ませた形。釉はよく溶けています。 棚板に貼り付いたもの。棚板の修復が大変です。

径7.8 高4.6 藁灰白萩釉の作品の中では一番のお気に入り。 径8.0 高5.6 胴に変化がある形。凸凹に釉がよくのっていてよい。 径9.7 高4.3 広口のぐい呑み。きれいに焼けて嬉しい。

径8.0 高5.4 ぽってり形のぐい呑み。藁灰白萩釉は焼成に安定感あり。 径8.6 高4.0 油滴は小粒ですが期待を裏切らない発色でした。 径8.3 高4.2 外側にも油滴がきれいに出ていて良好。

径9.4 高5.2 外側はベタな感じです。  径9.5 高5.9 内側の油滴は同じ大きさにちりばめられています。  中皿 径15.0 小皿10.8 皿はこの発色でも納得できます。

その他の作品 釉が流れて貼り付いたものがあるので数が減りました。


焼成で失敗は当たり前なのですが、やはり気持ちは沈んでしまいます。失敗をよく振り返り今後の焼成の糧にしていきたいと思います。予想を超えてよく出来た作品もあり作陶はメンタルにいろいろ働きかけてきます。とりあえず次回以降は赤の釉薬の薄掛けを試し、高温での保持時間を短縮する方向での焼成を検討中ですが、次回は還元焼成もやりたかったので、赤の釉薬も還元で試すかもしれません。畑も忙しくなってきたので作陶に集中できにくい季節ですが、創作意欲を維持していきたいと思います。