土で作る楽しみ 
     令和7年6月の作品   




   令和7年 6月13日 

春は畑作業が忙しく、畑に集中していたため製作が進みませんでしたが、「+ヒトマメ」さんのイベント実施の話が出てからは一気にやりきりました。といっても製作のイメージがなかなか固まらなかったのでずるずると無駄な日を過ごし、結局ギリギリイベント二日前に本焼きを完了して窯出しという綱渡りの形になりました。
今回の作品のテーマはシンプルに「黒の器」です。釉薬は黒織部釉、漆黒釉、錆釉の3種。どれも鉄釉薬ですが、黒織部釉はよく溶けていて艶々の茶色が見えます。漆黒釉は本当に細かい結晶が浮き出ていて超マットです。錆釉は窯変があり、マットになったり艶々になったりと変化が出ています。
形は湯呑と飯碗です。九隆庵らしく肩の辺りにくびれを持たせて変化を出しています。飯碗としては小さい感じですが、小食を目指す方にはよいかと思えます。長四角の皿には夏らしく青ガラス釉のラインを入れたり、楕円形の粘土を折り重ねた皿では折った部分や広げた粘土のひび割れなどを表現したりしました。時間に追われた製作でしたがそこそこ満足ができる焼き上がりとなりました。
 

黒織部釉
湯呑・飯碗 径10.0 高6.0 黒っぽいですが茶色が見えて、茶黒という印象。釉がよく溶けて艶々です。 黒織部釉の碗は6個。形、サイズ、形は多少違います。どれも釉欠け、釉はじきがなくきれいに焼けています。 光沢がありラップもきれいに貼り付くと思えます。

漆黒釉
湯呑・茶碗 径9.8 高7.0 超マット調です。マットなのに手に貼り付く感じで、ぽっちゃりの印象です。 漆黒釉も碗は6個。これもサイズ・形は多少違います。 耐熱の皿などで見掛けるマット感です。

錆釉
湯呑 径10.2 高7.4 温度によって溶け具合が違い、口辺は艶がありますが、見込みはマット調です。 錆釉の碗は3個。小さめの物2個は似ていますが、焼き具合は違います。窯の位置などで違いが出たようです。 釉薬が薄い部分は艶が出て、やや茶色になります。

中皿 長19.8 短8.8 夏の川のイメージで製作。青ガラス釉でラインを入れました。縁は割り折りです。少し反りがあります。 三角の小皿 1辺が10センチ程度。縁は白化粧。内側は緑ガラス釉ですが発色していません。ですがかなり楽しめます。 小皿 径13.0 黄瀬戸釉 貫入があります。シンプルですが趣があります。 木の葉皿 長21.5 短12.2 緑ガラス釉がきれいに発色しています。ムラも少ない。


イメージを固めてからは成形も釉掛けも一気に進めることができました。やはりイベントのように何か終点が決っているものがあると、絶対にやらないといけないので気が引き締まります。成形は順調に進みました。素焼きのときに強制乾燥させたために、四角の皿を1枚こなごなにしてしまいました。やはり時間を掛けて器の中までしっかり乾燥させないといけません。基本の黒のマット釉も試したかったのですが釉がごくわずかしか残っていなかったのでできませんでした。以前はコバルトを混ぜての変化を試したことがありましたが今回は余裕なし。作陶のペースの安定化というか長期の見通しが必要です。次の目標は地域の文化祭になるのかなと予想しています。