創作事情覚え 
  
    令和2年7月〜4年1月
                                                       

  
 創作の状況を見返すことは作品作りにとって大切な行動の一つです。これまでは時折、その様子をブログに載せていましたが、ブログでは見返すことの操作性がいまいちでした。そこで、このHP上に創作状況を載せるページを設け、簡単に見返せるように、そして制作にまつわる工夫、問題点などをまとめていくことにしました。ざっかラボ九隆庵の様子をご覧ください。

 
 
制作活動再開 令和2年7月20日(月)

 平成30年3月を最後に、2年以上窯での焼成は中断していました。途中、成形は少ししていましたが、それも中断。この度、やっと再開することになりました。とりあえず7月中、または8月上旬には素焼きができるように作品を溜めていきたいと考えています。
 これまでに成形したものは、4本足の「ぐい呑み風の器」シリーズが中心です。白化粧の生土掛けまでできていますが、足や底に付いた化粧土をがまだ付いたままなので、落とす必要があります。
 数日前から少しずつ成形し始めたのは、同サイズのぐい呑み4個。ろくろ成形して同じ物を成形する勘を取り戻すようにしました。まあまあの出来で安心しました。また、以前に赤土、白土、赤鉄砂土などを混合してすぐに作陶できるように練り上げておいた土が固まってしまったので、割る方法ではなく、水に浸けて戻しましたが、やはり均一な柔らかさにはならなかったので、豆皿の制作に使いました。豆皿はたたらではなく丸玉を掌の中で成形していく方法なので、均一でない粘土も掌の中で言うことを聞かすことができます。乾いたらこれは全体に化粧土のどぼ掛けをします。
 数が揃ってきました。もうあといくつか成形し、細かい仕上げをして素焼きへと移りたいと思います。


7月22日(水) 大変なことになった!
 
 ホームページの移転統合とともに、旧サーバーで使っていたメールアドレスも近々廃止する予定なので、今度は統合先のケーブルテレビのメールアドレスを登録する作業に今日は追われました。何度も何度もトライしてやっと設定でき安心。そこで次は夕食用の手打ちうどん作り。これもOK。.しかし片づけの時、麺切り包丁を窓際で乾かそうとしたときに、つい刃先に指が触れてしまった。「あっ!」と思った時には血がだらだら出てきてこれはやばい状態に。何とか消毒、止血して治めましたが、傷口はなかなか深い。残念なのは、これで作陶は当分できないということに。さらに畑も。予定が大幅に狂いましたが、これは「ゆっくり休め」というお告げなのだと納得することに。実は右手中指なので、マウスの右クリックがうまくできないということにも。なんだかなあ……。


令和3年 1月18日(月) ついに素焼き開始!

長い間ほったらかしだった作品の素焼き開始。固まりかけていた化粧土をしっかり攪拌して豆皿をどぼ浸け。指の跡を少しだけ消して(少し残っているのが好きなので)底の化粧土落とし。四つ足の器や碗物の足の裏の化粧土も落としました。窯詰めはぴったりギリギリで、あと1枚多かったら入らないというくらいで、見ただけで窯に入る量が分かるようになりました。最後の皿1枚は「サイコロ支柱」を並べてその上に置いてOK.。さあ電気スイッチオンといきたかったのですが、ファンを見るとほこりだらけ。これはやばいと思い急遽、窯の下部の配電部を開けて大掃除をしました。すごいほこりで、筆先でほこりを掃きだして掃除機で吸い取りました。いや〜確認してよかったです。やっとスイッチオン。150度までは粘土内の水蒸気を吐き出させるために窯の上下の蓋は開けておき、150度からは本格的に素焼きです。おおよそ800度まで上げます。窯が頑張ってくれるので部屋は夜中でも暖かくて嬉しい。明日の夕方〜あさってには窯が開けられるかと思います。何とか気持ちも充実してきて作品作りを再スタートできて嬉しいです。ただし焦らずゆっくりでいきたいと思います。 


令和3年 1月19日(火) まだ窯は熱いですが、あともう少し。

午後4時15分、温度計は154度ですがこれは800度まで上昇してスイッチが切れ、やっとここまで温度が下がったというわけです。200度あたりから少しずつ蓋の隙間を広げてやっとこの温度。まだ窯の中は熱いので作品には触れませんが、写真用に開けてまたすぐに閉めました。あと数時間で触れるようにはなるので、今度は「古代呉須」での模様付けを始めます。これは暖かい部屋でテレビを見ながらできる作業なので有難いです。模様は描き慣れた青海波で勘を取り戻そうと思います。とにかく一筆一筆地道に続けることですが、暖かい部屋では乾燥のため溶かした呉須の濃度が変わってしまわないようにするのが大事です。

試しの下書き

9時に試しに豆皿を1枚取り出しました。そして基本の絵柄を鉛筆で下書きしました。まあまあの出来ですが、一番内側の波の重なりは少し開き過ぎです。この皿はこのままにしておきますが、2枚目以降は修正が入ります。今日はここまで。残りの素焼き作品はまだ窯の中ですが、窯から出すと埃が掛かって絵付けや釉が乗りにくくなるので、このまま蓋をしておきます。


令和3年 1月20日(水) 試しの絵付け

昨日の下書きの素焼き皿に呉須で一度描いてみたのですが、ブランクのためやはり腕は腐っていて全然ダメ。折角描いたものですが水で洗い落して描くこと3度目。やっとまあ満足できる感じにはなりました。描くときの腕の悪さもありますが、呉須の濃さ、面相筆の選択など、すっとは行かない感じでした。素焼き後の器には粉が乗っているので、一度洗ってきれいにしないと絵付けも釉も弾かれてしまいます。同時に水分をある程度含ませることにより、筆で描く時に筆の滑りが格段によくなり、必須の作業です。そして作業を中断するときはガラスのボウルを被せ、乾燥が進み過ぎないようにします。腕が慣れるまでには時間が掛かりそうです。 


令和3年 1月22日(金) 6枚までできた クリップ式スタンドの利便性改善

昨日、今日で合わせて6枚に絵付けしてみました。1枚描く度に皿の湿り具合、呉須の濃さ、筆に含ます量などの加減のコツが戻ってきました。特に一番大切なのは、描くというより筆に含ませた呉須を皿の上に置いていくという感じで筆を運ばないとうまく呉須がのりません。まだまだ雑ですが練習を兼ねてぼちぼちやっていきます。手元明かりのために使っているスタンドは、クリップ式の物ですが挟む物がないので、文鎮を挟んで倒れてこないようにしていましたが、ゆらゆらして扱いにくい。そこで10分ほどで、土台を簡単に木で作ってみました。スタンドの傘が手前に来るので、そのバランスも考えてコンパクトサイズで作ってみました。ばっちりOKでこれで安心して絵付けができます。
 

令和3年 2月2日(火) 皿の絵付け〜絵付け皿の乾燥の度合い〜

皿には少しずつ絵付けをしていますが、1枚描くのに30分ぐらいは掛かるので、なかなか枚数がこなせません。絵付けするときに皿が乾燥していると呉須を弾いてしまいます。だからといって筆にたっぷり浸み込ませると一気に広がってしまうという悲惨なことになります。皿は水洗い後、水に浸し、十分に水を含んだら乾かしておきます。丁度よい頃合いを見て絵付けとなります。見た感じ、触った感じで大体分かります。それにしてもできるスピードはとても遅く、なかなか辛いものですが、まああまり力まずにやっていくつもりです。


令和3年 3月16日(火) 小皿の絵付けがやっと終了。長かった。

やっと小皿の絵付けが終了しました。全部で20枚。時間が掛かりました。作業が中断して時間が開くと手がダメになり勘を取り戻すのに時間が掛かりますが、かといって根を詰めると肩や腕が痛くなるので調整が難しい所です。これで一応安心ですが、まだ皿の裏側に「九隆庵」の印を書き込む作業が残っているので気は許せません。その他の素焼き作品はまだ窯の中です。窯の中に置いておくことで埃を被らないで済むからです。埃は絵付けや釉掛けで絵具や釉薬を弾いて釉欠けの原因になります。さて次の作業はどうなるかな?


12月7日(火) 陶芸を再開  悩み多き作陶

ここまでほったらかしだったのは時間がなかったというのは言い訳です。時間はあっても取り組めなかった原因の一つに、酸化焼成か還元焼成かの悩みです。小皿は還元で焼いて透明釉に深みを出したいのですが、逆に足付きの器は酸化焼成で織部の緑を生かした器にしたいという相反する思いがあって決めかねていましたが、最終的に還元焼成をすることに決めました。決まれば早速行動です。窯に残っていた素焼きの器を取り出して先ずは水洗い。洗っておかないと釉弾きが起こりやすくなります。小皿は「九隆庵」のマークを書いた上に釉抜き薬を載せ、その後木灰透明釉を拭き掛けしました。今日はここまで。足付きの器の釉薬選びは早急に行う予定です。しかし考え方を変えれば、もっと成形しておいて2回に分けて焼成すればいいだけの話ですけどそこが結構面倒なんですね。


12月9日(木) 釉薬を掛けて本焼き開始 多彩な釉薬です

還元で焼くと決めてからは一気に本焼きへ。足付きの器は掛け分けの装飾を諦め、新境地を開拓し新しい発見をするために近年あまり使っていない釉薬を掛けることにしました。使った釉薬は明日香釉、青白磁釉、禾目トルコ釉、硯青磁釉、黄瀬戸釉です。足付きの器の脚の裏にいぶし釉でナンバリングをして何を掛けたのかを記録できるようにしました。窯の棚板が傷んできたのでアルミナを塗りました。今回、脚が細い器が多いので釉が垂れることも想定して予防的にしておきました。窯詰めは本当にギリギリでパズルのようでしたが何とか詰められました。11時にスイッチオンで、80度で30分水分を飛ばした後は1220度までコンピューターにお任せです。今は夜中、昼には1220度に到達しますが、以後は冷却還元ですのでガスを注入してつきっきりで見守ることになります。

弱還元の本焼き中 ガス漏れのトラブルあり 危なかった!

11:15に1220℃に到達。30分の練らし。途中の11:30からガス注入。11:45に電源OFF。ガスの炎は小さくし天穴からは炎は出さない弱い還元が今回のテーマです。さて1100℃までは順調にいきましたが、1100℃で炎やガス注入の角度をチェックしていたらガスの細いホースが外れガス漏れが発生。あわててガスボンベを外し修理。ホースが硬化していて修理はなかなか大変でしたがとりあえず安全確保できました。ガス注入が中断したので1060℃から再開。その後は900℃まで維持しました。途中の中断もあって目指した方法よりさらに弱還元となりましたが果たして結果はどうなるかです。14:30現在で810℃まで下がってきています。


12月10日(金) 本焼き完了 窯出し

朝10時には130℃まで温度が下がったので窯出しをしました。まだ少し熱いため冷めて貫入が入るチンチン音がするものがありますが、それもまあOKです。全体としてよく焼けています。今回使用の釉薬は錆釉、明日香釉、青白磁釉、禾目トルコ結晶釉、硯青磁釉、黄瀬戸釉そして青海波小皿の木灰透明釉です。錆釉の飯碗は相変わらずよい出来です。作品についての詳しい情報を載せたページをUPする予定ですが、時間がかかります。お楽しみに。
upしました。 
令和成3年12月の陶芸作品 


12月15日(水) 固くなりかけていた粘土の練り直し  

1年以上前に練った粘土を出してきて練り直しました。いつでもすぐにろくろに乗せられるように、粘土の調合を済ませ、水分を通さない特別なビニールの袋に入れておきましたが、さすがに少し固くなってきていました。強く押せば形が変わる程度だったので、手水を付けながら何度も何度も折り重ねて水分を含ませ、ろくろに乗せて造作しやすい柔らかさにまで練りました。最後は菊練りで空気を出してOK.。1個1.2キロ程度のもの5個分。これだけあればかなりの数の器は作れるはずです。今回こそはもう固くしないで成形に持っていきたいと思います。


令和4年 1月1日(土) 今年も作品が作れますように

昨年は年の暮れに本焼きをすることができ、何とか陶への思いを忘れずに済むことができました。現状、陶土も程よく練ってあるので、いつでも作業ができる状態になっています。ただし動き始めるには「作品のイメージが固まる」ことがまず前提としてあるので、またまたその期間が長くならないかが心配です。とにかくガンガン作ってみることも大事なので、あまり深く考えずに「まず行動ありき」でいけるように自分に言い聞かせたいと思います。窯の上にはお飾りをして火の神様をお迎えしました。家の中に1200℃を超える場所があるということ自体尋常ではないので、安全にも十分気を付けるように心しました。